サブリース方式で月極駐車場運営:アズームの収益好調継続の理由
2022年2月28日 16:11
アズームの収益動向の好調が継続している。主業はサブリース方式による、オフィスビルや月極駐車の運営。最大級の月極駐車場検索サイト「カーパーキング」を運営している。
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収益好調の背景には「不足」がある。こんな話が状況を反映している。「賃貸ビルのリーシングで近隣駐車場の有無がポイントになっている」「近くに賃貸マンションが建ったが敷地内の月極駐車場は、住人10人に対し4~5人分程度。近場に(月極)駐車場を探さなくてはならない」。
2021年9月期の「30.4%増収、126.1%営業増益」に対し、今期も「28.7%の増収(64億円)、67.5%の営業増益(8億5000万円)、10円増配30円配」計画で立ち上がった。開示済みの第1四半期は「前年同期比29.6%増収(14億3600万円)、74.8%増(1億7600万円)」。期初の中間期計画に対し売上高・営業利益とも進捗率で50%を上回っている。好採算経営が進んでいる証しといえる。
詳細な説明は不要だろうが、サブリース方式の月極駐車場事業は「一括借り上げ・賃料保証」で月極駐車場オーナーから「空き室」を借り上げて運営を図る。オーナーにとっては「空き室=非活用」のリスク低減(所定賃料確保)に役立つ。同様のメリットが駐車場の管理会社にももたらされる。
前期末時点で「受託室数:1万2716」「稼働室数:1万1775室」。収益好調の背景について、業界通はこんな指摘をする。
★カーパーキングの運営が貢献している。自社サイトばかりではなくHOME‘S(島忠)など複数サイトに情報を提供することで、年間3万7000件以上の問い合わせがある。問い合わせ人のエリアが、「空室」に悩むオーナー発掘の契機になる。空室の紹介が収入にもつながる。
★適正賃料。ベースはカーパーキングでの賃貸料。毎月1万件以上の空室に関して、エリア相場を把握し反映させている。それが結局、オーナーへの賃料改定の合理的な提案にもつながる。
★サブリースの契約期間中でも「駐車場に(入居者・テナント・オーナーから)新規需要が発生したので」といった連絡があった場合は、遅くても3カ月以内に返却する。要するにオーナーが利益の最大化を図ることができる。
★月極駐車場の運営で意外な盲点は、「反社会的勢力」と契約を結んでしまいかねないこと。アズームでは「賃料の支払い能力」に合わせ顧客の「属性」審査にもフォーカスしている。利用希望者から「車検証」「個人契約:免許証/法人契約:会社謄本」「任意保険証のコピー」の提出を契約の前提としており、属性チェックに役立てている。
いま、首都圏・名阪・地方中核都市の深堀を打ち出している。(記事:千葉明・記事一覧を見る)