「特異事業」で存在感:巴コーポレーションの、「安定収益源」
2022年2月22日 16:39
味わいを覚える東証1部の企業が、東証からの「プライム市場、第1次判定結果」(昨年7月9日)を受け11月24日に「身の丈にあう」とし「スタンダード市場」への移行を表明した。巴コーポレーション(以下、巴コーポ)。
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「味わい云々」としたのは、巴コーポは自社開発技術「ダイヤモンドトラス(無柱大張間建築手法)」という武器を持ち、立体構造建設の先駆社として認識されてきた。体育館・大展示会場等で多々の実績を残している。また橋梁・鉄骨・鉄塔の設計・施工の展開でも幾多の足跡が確認できるからである。
前3月期は「26.7%減収、21.9%営業減益、17.0%最終減益、2円減配8円配」と落ち込んだ。前期については「五輪特需一巡に伴う建設業界の端境期」という背景も否定できないが、最大のマイナス材料は新型コロナウイルス感染症の再拡大による受注減。前年度比11%減の222億5100万円に減少し、結果売上高も27%近い減少を余儀なくされた。
対して今期は、「5.3%減収、2.4%営業減益、10.7%最終減益」と厳しさを引きずる立ち上がりとなった。後述するが今期は進行中の中計の最終期。それだけに市場は懸念を強めた。
だが中間期・第3四半期開示と同時に2回にわたって通期の上方修正を発表した。「7.6%増収(250億円)、56.3%営業増益(32億円)、48.9%最終増益(21億円)」。配当も復元増配+2円の12円配とした。巴コーポでは修正の理由を、こう説明した。
「依然、新型コロナウイルスの影響は予断を許せないが・・・中間期実績で大型鉄骨工事等の鉄構建設事業の売り上げが期初想定を10億円上回った。その後も引き続き工事進捗度が順調に推移し、第3四半期では期初予想比で20億円を上回る結果となった。利益面では売り上げ増に加え更なる工事採算が改善する流れを示しているため」
ただアナリストの間では、こんな見方が強いことも事実。「セグメント別収益からも明らかなように、不動産賃貸が安定収益となっている。投資対象として巴コーポを俎上に載せる時、今期の連続上方修正だけをプラス要因と捉えるかどうかは・・・」。
ただ同時に、こうも付け加える。「賃貸不動産が全て自社所有地の活用であること。物件が関東圏の好立地物件であること。リニューアルなり建て直しとなれば自社での対応が可能。等々を勘案すると、賃料収入は巴コーポにとり安心剤と捉えることが出来る」。
至2023年3月期の中計は「売上高(完工高)290億円、営業利益22億円以上」を目標値として掲げているが、そのうち不動産事業の営業利益目標を「10億円以上」としている。(記事:千葉明・記事一覧を見る)