かつて四季報は買うものではなく、貰うものだった!?
2022年2月11日 08:18
かつて「会社四季報」は買うものではなかった。貰うものだった。今と異なりPCで情報を検索してから企業取材を、という状況になかった。証券会社はいわば私だけではなく企業関係の記事を書く新聞・雑誌などの記者に、情報収集の入り口だった。日頃付き合いのある証券会社から年4回の発行ごとに当然のように頂戴していた。
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当時四季報が出ると証券会社の(法人)営業担当者は徹夜仕事を強いられた。例えば『期初予想を最終利益が大幅に上回った(業種別)ランキング』『時価総額が大幅に増えた(業種別)ランキング』『(業種別)予想配当性向ランキング』『(業種別)営業益上方修正ランキング』等々をレポート用紙に書き出し、翌朝早々に「いの一番」を競って大口顧客の手元に届けるためだ。
時代は変わった。便利なPCなる代物がある。また四季報自体の巻末なりに、その種の情報が特集されている。手元の四季報では【前号四季報独自予想が、会社上方修正を先読みした銘柄】として、前号の独自増額予想後に企業側が上方修正した数値比較がズラーと並んでいる。
私が今回、ダイキン工業(東証1部)の収益動向をチェックしようと思ったのも入り口は【・・・】だった。前号(昨年秋号)で四季報はダイキンの自社営業利益予想:2900億円を3000億円に独自修正、前号発売後のダイキン側の自体が行った上方修正は3000億円。四季報の記者の見込み通りに上積みされている。
前2021年3月期はさすがのダイキンもコロナ禍の影響を受け「2.2%減収、10.7%経常減益、8.5%最終減益」。対して今期は「10.3%増収、12.4%経常増益、13.3%最終増益、20円増配180円配」と、切り返す計画で立ち上がった。そして第2四半期発表と同時に、「17.5%の増収(2兆9300億円)、25.7%の経常増益(3020億円)、29.9%の最終増益(2030億円)」に上方修正した。コロナ禍の影響からは抜け出したという見方なのか。
前年同期比「26.8%増収、49.3%経常増益、64.6%最終増益」となった中間期について、ダイキンでは主力の空調機事業を介しこう解説している。
「緊急事態宣言による需要鈍化が続くなど、新型コロナウイルスによる影響が出る前の水準が見込まれないが昨年度の大幅な落ち込みからは徐々に回復している・・・・・市場で関心が高まる換気・除菌商材のニーズに応える提案営業を継続し、空調機器と高機能換気設備の全熱交換器:ベンティエールやストリーマ除菌ユニットを組み合わせて販売を拡大した・・・・・住宅用空調機器も換気しながら加湿・除湿、冷暖房ができうるさらX、ウイルスや菌の抑制効果を高めた製品の訴求で巣ごもり需要一巡、8月の長雨をカバーした」
この時点では、オミクロン株の影響は問沙汰されていない。だが解説には「気は緩められない」が「提案・訴求営業で・・・」というニュアンスが感じられた。(記事:千葉明・記事一覧を見る)