M31で発見された珍しいブラックホール ユタ大学の研究
2022年1月26日 07:57
ブラックホールと言えば、大質量恒星の成れの果ての姿である恒星質量ブラックホール(太陽質量の10~数十倍程度)と、銀河中心にある超大質量ブラックホール(太陽質量の100万倍以上)が一般的で、それぞれに形成メカニズムの解明が進んでいる。一方中間質量ブラックホール(太陽質量の10万倍程度)は、圧倒的少数派でその形成メカニズムについては謎が多い。
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ユタ大学は24日、アンドロメダ座の大星雲M31で発見された中間質量ブラックホールに関する研究結果を発表した。研究論文は、1月11日に米国アストロフィジカルジャーナルで公開されている。これは中間質量ブラックホールの形成メカニズムに言及した、貴重な論文である。
研究によれば、M31で発見されたブラックホールは球状星団B023-G078の中に潜んでいたと言う。またB023-G078は従来球状星団と考えられていたが、実はかつて矮小銀河あったものが、他の銀河の重力によって外周を取り巻く天体をはぎとられた残骸(矮小銀河の核の部分)であるとも、研究者は主張している。
従来、中間質量ブラックホールの形成には、複数の仮説が唱えられていた。球状星団の内部で多くの恒星質量ブラックホールが合体してできたという仮説や、宇宙の創成期には現在の恒星スケールを超える超巨大恒星が誕生しており、これらの成れの果ての姿であるという仮説だ。今回の発見は、それらを覆す新説となる。
研究では、B023-G078の中央部に存在する恒星の移動速度を、ブラックホールが存在しない球状星団と仮定した場合と、ブラックホールの重力によって恒星が引き寄せられていると仮定した場合の両ケースでシミュレーション計算を実施。前者の仮定をした場合、実際の観測値よりも遅すぎ、後者の仮定をした場合、実測値によく合致した。このことから、B023-G078にブラックホールが存在していると結論付けている。
この研究で、中間質量ブラックホールを発見するための指針が明らかになり、今後発見数も増えていくことが期待される。中間質量ブラックホールの研究事例が増えれば、その形成メカニズムもより正確な情報が得られることになるだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る)