ブラックホールは毛糸玉のような存在だった オハイオ州立大の研究
2022年1月5日 07:47
ブラックホールは、恒星の成れの果てのブラックホールが合体を繰り返して巨大化したものや、銀河の中心にあるブラックホールが銀河同士の合体によって超巨大化したものなど、そのスケールや形態は非常にバリエーションに富んでいる。
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スケールの大小はあれども、ブラックホールは外側を観測することは可能だが、内部構造は直接観測ができない。その理由はブラックホール内部における重力は光速でも、逃げ出すことができないほど大きいからだ。ブラックホールで光が逃げ出せなくなる境界線のことを「事象の地平線」と呼ぶが、この境界線より内側の構造がどうなっているのかは理論上の難問として、多くの研究者たちがその謎に挑んできた。
オハイオ州立大学の研究者が、2021年12月に学術誌TurkishJournal of Physicsで公表した研究論文によれば、ブラックホールは事象の地平線内部がスカスカという。中心点に無限大の質量が集中している(これを従来研究者たちは特異点と称してきた)存在ではなく、素粒子がブラックホール内部で潮汐効果によって極限にまで引き延ばされた毛糸のようになり、それらが無限に折り重なって、毛糸のボールのようになった存在であるというのだ。ブラックホールが巨大になればなるほど毛糸のボールが大きくなると考えればよいだろう。
これは宇宙のすべての粒子が、小さな振動する弦でできているという弦理論に基づく結論だ。この説を採用することで、ホーキングの情報パラドックスを解決できる可能性があるという。ホーキングの情報パラドックスとは、ブラックホールに入るデータは決して物質から離れることができないというホーキングの結論が、量子状態が観測によってはじめて決定されるという量子力学の基本法則に矛盾することを指す。
ブラックホールは素粒子を吸い尽くす存在だが、それは宇宙の特別な構造の端点であることを意味するという。別の端点であるワームホールからブラックホールが集めた素粒子が飛び出しているという、ワームホールパラダイムにも、この研究は新たな知見をもたらす可能性があると、研究者は主張している。(記事:cedar3・記事一覧を見る)