教育事業の学研はいま、介護事業との両輪企業へ

2021年11月22日 17:52

 学研ホールディングス(東証1部。以下、学研HD)。学研グループの創業者:故古岡秀人氏が起業したのは1946年。戦前、小学館に勤務し「小学三年生」の編集に携わった。それが原点だったのだろう、と語り継がれているが企業に当たり古岡氏は『戦後の復興は、教育をおいてほかにない』と考えたと言う。

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 そして詳細は後述するが、いまや学研HDの車の両輪になっている介護関連事業に歩を踏み入れるに際し、邸宅の一角に第1号の高齢者用住宅を建てたという逸話が残っている。持論を速攻する経営者だった。

 今回、学研HDを書きたいと思ったきっかけは週刊紙「高齢者住宅新聞」の8月4日・11日合併号を読み直した結果だった。恒例となっている『福祉施設・高齢者住宅定員数ランキング』特集が組まれ、『学研G、初のトップ3に』と一面の大見出しに謳われていた。

 その要因を記者は「2018年に定員5000名以上のグループホーム(認知症者向け施設)を運営していたメディカル・ケア・サービスを買収し定員1万人の大台に乗せた同社は、その後も年間30棟を目標に積極的な新規開発を続けている。昨年から定員数は約1100名を上乗せされている」と説明している。

 改めて学研HDの今を調べた。

 前9月期の「4.7%の増収、22.9%の営業増益、実質増配の22円配」に続き今期も、「4.5%の増収(1570億円)、7.4%の営業増益(67億円)、2円増配24円配」と着実な計画で立ち上がっている。

 学研と言えば教育事業が、まず頭に浮かぶ。介護事業(正式には医療福祉分野)は、「教育分野」と肩を並べる2本柱となっている。前9月期でみると介護(施設:サ高住・グループホーム等)事業+教育支援事業(保育園・子供園・学童施設の運営)は「8.24%の増収(657億9200万円)、10.86%の営業増益(30億4200万円)」と、総売上高及び総営業利益のそれぞれ「43.8%、48.8%」を占めている。

 そして魅力を覚えたのは、施設の料金体系だった。例えばサ高住でみると、入居費用は月約18万円(サラリーマンが30年勤続で手にする厚生年金額)に収まるリーズナブルな枠組みとなっている。表現の是非は別に、「集客能力」にたけている。

 23年9月期を最終年度とする中計でも、介護事業への更なる注力が見て取れる。全体で「売上高1650億円、営業利益75億円」の目標を掲げ、こと介護施設は「110施設(前期末実績72)」「受け入れ可能数6460名(4360)」を謳っている。

 今後とも「医療福祉事業」の拡充を前面に押し出している。過去10年間の株価パフォーマンスは約3倍。押し目買い長期保有の対象として魅力を覚えるが・・・。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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