処方箋不要の医療用医薬品、「零売」をご存知か
2021年11月5日 07:47
24日のyahoo!JAPANのニュース欄で毎日新聞発の、『コロナ下で拡大する「零売」 医療用医薬品、必要量だけ販売』と題する見出しに目をとめた。通常、見出しを黙読すれば「何に関して書かれている記事か」くらいの予想は大方つく。だがこの見出しの限りでは、何に関する記事かも全くイメージすらできなかった。
【こちらも】またぞろ新たな商品・分野に踏み出す構えのロート製薬の足元とこれから
最大の理由は「零売」の2文字を、皆目理解していなかったからだ。読者諸氏には「分かっていて当たり前」と笑われるかもしれないが・・・。勿論「見出し自体に問題が云々」、などというつもりは全くない。そもそも「零売とは」を調べ、記事を読んだら「なるほど」と容易に頷けたからだ。
但しいまもって、零売(薬局)を完全には理解し得ていない。そんな類の薬局を目撃したことも活用したこともない。「医師の処方箋が必要=医療用医薬品」「不必要な=大衆医薬品」と思い込んでいた。つまり「処方箋不要の医療用医薬品=零売」という認識がなかったからだ。が、厚労省のHPにも確かにその旨は記されている。
では、その処方箋なき医療用医薬品はどんな風に販売されているのか。それを探す作業の道すがら2020年3月に、「日本零売薬局協会」なる一般社団法人が設立されていることを知った。
理事長はSDC社長の服部雄太氏。理事にセルフケア薬局COOの小瀬文彰氏など「零売薬局」を展開する企業のトップが名を連ねている。新設の業界団体の言い分だけに多少は割り引いて聞かなくてはなるまいが・・・、「協会設立の目的」はこう謡っている。
「処方箋がなくても販売できる医療用医薬品を専門に扱っているのが零売薬局になる。・・・保険が適用されないため全額自己負担になるが、病院に行けば診察料や処方箋料、薬局でも調剤料や指導料がかかる。ため価格面では多少の誤差はあるが同じくらいか安くなる。・・・いつも服用している薬が零売の販売対象で、薬がすぐに必要という場合には有効な選択肢になる」。
では実際に零売対象医薬品は、具体的にどう入手するのか。前記のセルフケア薬局は、関東・東海・関西に計22店舗を設けている。顧客は薬剤師とコンサルティングを介して零売を必要な分だけ購入する。例えば対象商品「トラネキサム酸錠500mg」(炎症を抑える効果や止血効果がある)が売られているが、確かに医療用医薬品である。
零倍薬局を利用している読者がいたら、その実態を是非お教えいただきたい。というのも何故なら「日本零売薬局協会」自体が、「・・・現在は利用者の零売薬局の認知度も低く、零売に関する国のガイドラインや自主基準などがないため、しっかりとしたガバナンスのもとで行われているとはいえない現状・・・」としているからだ。
医療用医薬品と認められているものの約半分が「零売」の対象薬だという。それを活用されるための体制整備が不十分というのは「もったいない&全く解せない」話である。(記事:千葉明・記事一覧を見る)