3つのメダル物語 報奨金・原価・製造
2021年8月9日 08:00
河村たかし:名古屋市長の「金メダルかじり」が内外で問題となった。ソフトボール日本代表:後藤希友選手の金メダルを無断でかじった。後藤選手が所属するトヨタ自動車からも「あるまじき行為」云々という公式コメントが発せられた。馬鹿者!以外に言葉が見つからない。
【こちらも】マルマエの大幅上方修正・株価動向が改めて示す、「半導体不足」の現状
―さて(金)メダル3題―
(I)メダル獲得者への報奨金: 日本ではJOC(日本オリンピック委員会)・JPSA(日本障がい者スポーツ協会)が支給している。前者は「金:500万円、銀:200万円、銅:100万円」。後者はそれぞれ「300万円、200万円、100万円」。抱えている予算の違いなのだろうが、こと金メダルに関し「500万円対300万円」は「しっくりこない」が実感。
これに各競技団体から、例えば卓球男子団体が金メダルに輝くと代表3選手に1000万円が卓球用具メーカーV社から贈られる。だが何故か、柔道・水泳・フェンシングは「なし」。メダルの報奨金は非課税。かつては報奨金も一時所得として課税対象だった。しかし1992年のバルセロナ五輪で、女子平泳ぎで優勝した当時14歳の岩崎恭子選手の報奨金から9万円が徴収されたことが世論の批判を浴び無税になった。
メダルへの報奨金は国により異なる。東京スポーツWebによると、最も高額なのはシンガポールでそれぞれ「約8040万円、約5450万円、約2720万円」。逆に英国・スウェーデン・ニュージーランドには報奨金制度はなし。
(II)金メダルの原価: 1916年のベルリン大会以降『オリンピック憲章』で、金メダルの規格が定められている。「大きさ:直径60mm以上/厚さ3mm以上」「素材:重量の92.5%以上を銀/6g以上で金メッキ」。大会を追うごとにメダルの重量は増えている。今回の金メダルの総重量は556g。夏季大会の過去最高を更新。
オリンピック閉幕(8月8日)時で日本の金メダル数は27個(正確にはソフトボールは15人に、卓球ミックスダブルスでは2人に授けられているがそれぞれ1人・1個で勘定)。金メッキ6gで換算すると「6g×27個」で162gの金を日本選手は手にしたことになる。
田中貴金属の6日の1g当たりの小売価格:7065円で計算すると、162gの時価総額は約114万4500円。パラリンピックのアスリートの今後の活躍で、総額の拡充を期待したい。有名選手の金メダルがオークションにかけられ約1億円で落札された例もある(米雑誌:TIME)というが、田中貴金属では「今大会の金メダルの金属としての価値は9万8000円程度」としている。
(III)メダルの製造: 今回の五輪・パラリンピックでは約5000個のメダルが用意されているが、製造は過去3回の“日本”主催時と同様に造幣局が担っている。もっと言えば、「2人の熟練工を軸に、すべてを同じ品質に仕上げる努力がなされている」という。彼らにも「金メダルを」と思うのは私だけだろうか・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)