白色矮星を周回する惑星で、生命生息は可能か 英ウォーリック大の研究
2021年7月22日 09:22
白色矮星とは、太陽と同程度の質量を持つ恒星が、進化の終末期に取る形態であり、非常に高密度の星であることが知られている。例えば太陽と同程度の質量を持つ白色矮星の体積は、地球と同程度にしかならない。
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太陽も赤色巨星の形態を経て、やがては白色矮星になるが、白色矮星が死んでしまった星と考えるのは早計である。以前は太陽が赤色巨星化すると地球が太陽に飲み込まれると考えられていた。だが最新の研究では、赤色巨星化する際に多くの質量が失われて重力が弱まるため、地球の公転軌道は現在よりも外側に追いやられ、太陽に飲み込まれる心配はないとの説もある。
太陽は白色矮星になった後、最終的にはさらに暗い黒色矮星になるのだが、恒星が黒色矮星化するために要する時間は宇宙の年齢である138億年よりも長く、まだこの宇宙では黒色矮星は誕生していない。
前置きが長くなったが、白色矮星を周回する惑星において、生命の生息が可能かどうかという疑問に挑戦した科学者がいる。現在、イギリスの王立天文学会月報にその研究概要が公開されており、NAM2021と呼ばれるオンライン天文会議で21日、ウォーリック大学の科学者たちによってその報告が行なわれる。
研究によれば、白色矮星を周回する惑星に生息する生命にとっての脅威は、放射線だ。白色矮星は太陽に比べて暗く、ハビタブルゾーンも太陽から地球までの距離である1億5千万kmよりもはるかに小さくなるため、ハビタブルゾーンに存在する惑星には、地球が太陽から受ける放射線とは比べ物にならないレベルの放射線が降り注ぐとされる。
だが、白色矮星は長時間安定的で、黒色矮星化するまでにはかなりの時間が残されている。つまり、白色矮星の周りのハビタブルゾーンに存在する惑星には、生命が誕生するために十分な時間が用意されているのだ。この研究は、地球外生命体の存在の可能性を探る目的で進められてきたのだが、白色矮星を周回する惑星では生命誕生に必要な時間は十分にあり、地球外生命の探索には希望が持てそうである。(記事:cedar3・記事一覧を見る)