PEGレシオが「割安」を示す、中小型株探しと格闘した
2021年6月26日 15:39
私が初めてPEGレシオを知ったのは、かれこれ15年余り前になる。70歳代終盤のいまなお現役で投資顧問会社を率いる、塩住秀夫氏から教わった。
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金融街:シティで日本人として初めて役員となった御仁で、世界屈指の投資家として知られるジョージ・ソロス氏が運営するクォンタムファンドで1983年から3年間「日本株運用」を担ったキャリアを有する。成長株論者。
具体的な銘柄選択法を問うた時に、中小型成長株発掘に適するPEGレシオについて聞いた。『株価収益率÷EPSの成長率』で算出する、塩住氏は「過去3期間のEPSの平均成長率で算出するのがベスト」としたが「今期の成長率でもOK。要するに成長率がPERに反映されているかどうかが肝心。値が0未満なら投資対象の俎上にのせる価値あり」とした。
現状でどんな銘柄が俎上に乗るか、格闘してみた。
アズーム。サブリース方式による月極駐車の運営。最大級の月極駐車場検索サイト「カーパーキング」を展開している。2020年9月期の「39.8%増収、139.1%営業増益」に対し、今期も「25.8%の増収(48億円)、100.5%の営業増益(4億5000万円)」計画で立ち上がった。開示済みの中間期実績は「前年同期比31.2%増収(23億2800万円)、470.4%増(2億5300万円)」。営業利益は期初の中間期予想を、1億4000万円近く上回っている。
サブリース方式の月極駐車場事業は「一括借り上げ・賃料保証」で月極駐車場オーナーから「空き室」を借り上げて運営を図る。オーナーにとっては「空き室=非活用」のリスク低減(所定賃料確保)に役立つ。同様のメリットが駐車場の管理会社にももたらされる。今期中間期末時点で「受託室数:1万2716室」「稼働室数:1万1775室」。
「月極駐車場の運営で意外な盲点は、反社会的勢力と契約を結んでしまいかねないこと。アズームでは賃料の支払い能力に合わせ顧客の属性審査にもフォーカスしている。利用希望者から車検証・個人契約:免許証・法人契約時は会社謄本・任意保険証のコピーの提出を契約の前提としており、属性チェックに役立てている」といった評価も聞かれる。
アズームの時価は5000円台入り口。PEGレシオを当て嵌めると、「時価予想PER52.19倍÷今期予想EPS成長率108%=0.48」。「割安」と判断しうる。この伝でいくとセントケア・ホールディングス(介護事業展開)・フィット(投資家向けコンパクトソーラー発電所メイン)・東京エレクトロンデバイス(東京エレク系半導体商社)・物語コーポレーション(3097、飲食店チェーン)・前に記したオークファン(3674、商品流通プラットフォーム事業)・日本リビング保証(住設機器の保証修理)などが投資対象の俎上に乗ってくる。(記事:千葉明・記事一覧を見る)