日本の水ビジネス、100%自由化が求められる理由
2021年6月22日 16:43
日本の水道水は「世界でも安心して口に出来る、屈指の水」、と指摘される。UPDN(国連開発計画)の試算では、「地球上の使用可能な淡水(いわゆる飲食用に適する真水)量は、年間1人当たり8000立方メート程度」⇔「現在9億人弱の人々が安全な水を利用できない状況」⇔「27億人以上が基本的な衛生(海水に何らかの処理を加え塩分を取り除き淡水を作り出す)設備を利用できない事情下にある」という。また2050年には、「39億人が、水不足(使用可能な淡水量=年間1人当たり1000立方メートル未満)に陥る」という試算もある。
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そうした現状でもかつ恵まれている日本人は、「とはいえ、マンションの水などは貯蔵タンクの汚れで直接口にするのは・・・」といった具合で、「真水事業(自然水販売、真水転換機器設置)」が相応の市場規模になっている。当家の水道の蛇口にも、その手の類の機器が取り付けられている。
だがこの限りでも「水ビジネス」関連企業として、「野村マイクロ・サイエンス(超純水装置大手)」「クボタ(状下水管・濾過・ポンプ事業)」「オルガノ(水処理薬品)」「栗田工業(総合水処理で国内首位)」「メタウォーター(総合水道事業企業)」などが証券界では「水絡み」の話題が問沙汰される際に浮上してきた。水ビジネス。明確な定義はないが、通常、「水源開発」「上下水道事業」「下水再利用」の総称として使われる。
日本では100年以上に亘り、地方自治体が水道事業者として運営に当たってきた。民間企業は前記企業に加え、「ポンプやフィルターなどの機器の製販」「水処理プラントの建設」「施設の運転・維持管理業」として関わるにとどまってきた。
そんな水ビジネスに多少なりとも変化が見られ始めたのは、2001年の「水道法改正」が契機。水道事業の運営を第3者に委託できるようになった。具体的には18年4月に静岡県浜松市で、民間のコンセッション(独占権を得た事業体)に下水道運営権が委託された。2大水メジャーと称されるヴェオリアグループ(フランス)の日本法人が代表。これにヴェオリア・ジェネッツ・JFEエンジニアリング・オリックス・東急建設・須山建設(地元業者)が加わっている。
が、「中途半端」の指摘が多い。施設の運営権は与えられるが、所有権は地方公共団体が維持するからである。例えばこの種の民営化で代表的とされるフランスの総合水事業者は、「部材提供」「水処理プラント建設」「施設の維持管理」を所有権も有し一切合切を取り仕切る。海外での水道事業をトータルに担ってもいる。
日本の淡水をより「安全」にするためには、過去の公共事業の民営化が教えてくれているように「100%」が不可欠。そうなって初めて海外進出も進もう。水ビジネスも、曲がり角を迎えている!?(記事:千葉明・記事一覧を見る)