有明海の養殖ノリは遺伝的類似度が高い 全ゲノム解析で解明 佐賀大

2021年6月14日 16:52

 佐賀大学の研究グループが、有明海に生息するノリを対象に全ゲノム解析を実施したところ、養殖ノリは遺伝的類似度が高いことが分かったとする研究成果を発表した。遺伝的類似度が高い品種は、気候変動など外的脅威に強い新品種を作出することが難しいとされ、研究グループは今後、新たなノリの品種の養殖を可能にする技術の確立を通じ、課題克服に努めるとしている。

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 佐賀県有明水産振興センターによると、有明海は、福岡と佐賀、長崎、熊本の4県に囲まれた内海。最大6メートルの干満差に加え、湾の干潟が軟泥質と砂泥質で形成されていることから、豊かな生態系を有していることで知られる。

 特に有名なのが、全国の生産量の4割を占めるノリ養殖だ。生産量が平年の6割にとどまる「ノリ凶作」(2000年度)など時折厳しい漁況に置かれてきたものの、昨今の生産枚数と生産額はそれぞれ20億枚、200億円で推移している。

 そうした中、佐賀大では、ノリ養殖産業の維持と発展に向け、2017年に「地域の農水圏生物生産・利用技術等の高度化プロジェクト」を立ち上げ、ノリ研究を本格化。佐賀市の本庄キャンパスに培養施設を整備したほか、ゲノム(全遺伝情報)解析に取り組んできた。約2年に及ぶゲノム解析研究がこのほど完了したことから、今回の発表に踏み切った。

 スサビノリを実験対象としたゲノム解析では、有明海近郊で養殖されている品種を使い、養殖場で栽培されている野生株の品種や、中国・山東省の野生株と比較解析。すると、養殖ノリの葉緑体とミトコンドリアは、中国産の野生種と比べて、極めて小さいことが判明した。核のゲノム解析では、日本の養殖ノリは、遺伝的に極めて類似していることが分かった。

 これにより研究グループは、養殖品種や養殖場周辺の野生株は、遺伝的に類似していると断定。現行の養殖品種で新品種開発を行っても、気候変動への耐性がある新品種の作出は難しいとみており、「養殖という観点で未利用のノリの仲間を養殖可能とする技術の確立を目指す」と話している。(記事:小村海・記事一覧を見る

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