ユニコーン企業予備軍:ユニファは上場への道を着実に進んでいる
2021年6月7日 15:33
日本経済新聞が選定するNEXT1000は、「ユニコーン企業候補」を意味する。ユニコーン企業は、「創業10年以内」「未上場」「(日経独自)企業評価額10億$以上」「テクノロジー企業」の4条件を満たす企業を指す。
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そんな1社に、ユニファがある。テクノロジーの力で「保育」「子育て」に関する課題を解消する、をミッションに2013年に現代表:土岐泰之氏が設立した。平たく言えば、開発したシステムを保育園に売り込む企業。昨年6月末時点で約3200園と取引を実現している。どんなシステムがあるのか。
★ルクミー午睡チェック: 園児は昼食後に昼寝をする。その際に薄暗い中で(不足傾向にある)保育士が1人1人の様子をチェックするのはキツイ作業。代わって「うつ伏せ寝していないか」「体動が停止していないか」をチェック。異常を感知すればアラートが保育士に向け発せられるシステム。
★ルクミー体温計: 非接触型幼児向け体温計。平熱から1度以上の差異があれば、自動的に保育士が保有するタブレットに赤字のチェックが印される。
★ルクミーバス居所情報: バスで園児の送迎をする保育園向けに「いまバスは、●●地点を通過中」といったメッセージが親元に配信されるシステム。親御の出勤時間や退社時間の調整が可能になる。
そんなユニファが国内外の投資家8社から、第三者割当増資による40億円の資金調達を実施した。国内組では第一生命や博報堂DYベンチャー、ミネルバグロスパートナーズ、創発の莟ファンドなどが応じている。ユファではその狙いをこう説明している。
「既存のルクミーシリーズや新規事業に関わるプロダクト開発費用、顧客施設拡大に向けた営業・マーケティング費用・・・M&A等に使用する予定」
また応じた1社である第一生命の重本和之執行役員投資本部長の、「運用収益獲得と社会的インパクト創出の両立を目指す“インパクト投資”として、追加出資した。ユニファのサービスの普及で待機児童問題の解消を促し、女性活躍の更なる推進に寄与することを期待している」といったメッセージも配信されている。
拙著に『第一生命有価証券部』がある。「上場に至る可能性の高い成長期入りした若い企業への積極投資の姿勢が強い」という内容を記した1冊である。
ユニファは増資を伝えるリリースで、並行しコンプライアンス体制強化策として3人の社外取締役制を敷いたことも明らかにした。
双方を考え合わせると脳裏に浮上したのは、かつて取材で耳にした土岐代表の上場に対する前向きな発言だった。「ユニファは上場に向け着々と階段を上っている」と実感した。(記事:千葉明・記事一覧を見る)