コロナ禍も乗り切った不動産業:プロパティエージェントのビジネス
2021年4月28日 07:27
コロナウイルス禍が最大の要因だろう。新年度の企業業績計画を「見送る」、ないしは「幅を持たせて」設定する企業が多い。
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東証上場のプロパティエージェントも前3月期の「5.3%増収、19.0%営業増益、4円増配25円配」に対し今期は昨年5月時点で、「2.1%減収(222億円)~8.9%増収(247億円)、21.2%営業減益(15億円)~5.1%営業増益(20億円)、25円配」計画で立ち上がった。だが推移を見守った上で幸いにも?2月4日に「19.1%増収(270億円)、5.1%営業増益(20億円)、1円増配26円配」と実質増収増益に上方修正した。かつ3月18日には「今期見通しは2月4日発表の計画通り」とした。
プロパティエージェントは、不動産ファクターに属する。不動産関連企業の今期は、総じて厳しい。それだけになおさらプロパティエージェントを調べてみようと考えた。事業のセグメントは2つ。
(I)不動産開発販売事業: 土地の手当てに始まる自社開発不動産物件&区分所有マンションを含む中古収益不動産の(取得改修後)販売。
(II)プロパティマネジメント事業: 開発&取得改修販売後の、賃貸及び建物の管理・運営事業。
Iの順調なくしてはIIの伸びはあり得ない。本校作成(第3四半期開示)時点では、「(投資用マンションの)クレイシリーズ:200戸」「中古収益不動産:122戸」「(居住用コンパクトマンション)ヴァースクレイシアシリーズ:70戸」「(都市型アパート)ソルナクレイシアシリーズ:1棟」「その他63戸」を販売している。
また詳細は後述するが、アヴァントのグループ子会社化(連結決算開始)や、前期に開始した不動産クラウドファンディング事業の好調な出足(組成した2つのファンドで募集金額の5倍超の応募)などが要因となっている。
こうした背景から順調さを示す結果となったわけだが、今後を展望する上でとりわけ注目に値するのは第三者割当増資を全て引き受けてG子会社化した「アヴァント」の存在である。クラウドやAIなどを活用したシステム開発・最先端技術研究開発を展開する企業。
例えば代表的な商品に『FreeiD(顔認証)』がある。既に1月にFreeiDを導入した国内初のマンション「クレイシアIDZ学芸大学」が竣工している。顔認証での解施錠システムを順次自社開発物件に導入、オフィス向けへの展開を視野に入れている。
また鍵が不必要なシステム開発会社にも出資を済ましており、不動産業者デジタル化の推進を明らかにしている。
本校作成中の時価は2200円台。2015年の上場初値から3倍近い水準。不動産ビジネスもデジタル化・DXの世界が進捗している。(記事:千葉明・記事一覧を見る)