ビットコイン急落から始まっている? 2021年のsell in mayと対策 前編
2021年4月26日 07:48
長期休暇であるゴールデンウィークの直前にもかかわらず、日本国内においては大阪を中心とする新型コロナウイルス変異株の感染拡大に歯止めがかからず、4月25日より3度目の緊急事態宣言が発令されることとなった。
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地域を限定しての発令とはいえども、国内で人口が最も多い都道府県である東京と、3番目に多い大阪に対して(2番目は神奈川)、不要不急の外出(出入り)を制限する呼びかけであるから、発令地域だけではなく、日本国内全体への経済的ダメージとなることは間違いない。コロナ疲れや自粛慣れがあったとしても、人流を減らす一定の効果はあるだろう。
昨今では、インターネット環境の普及によって人流と経済との相関性は崩れつつあるが、一般的には、人流の総量に比例して、経済効果へと波及するものである。近年、観光や帰省などの国内旅行の需要が減少してきているとはいえ、観光業や飲食業にとって当面のインバウンド需要が見込めない現在の状況下においては、人流が増えるゴールデンウィークなどの長期休暇が、限られた稼ぎ時なのである。
もちろん、旅行だけではなく、スポーツ観戦やコンサートなどのイベントも制限されることになるため、人流はさらに停滞することになるはずだ。年内には完遂するであろうワクチン接種への期待があるとはいえども、コロナ禍から1年が過ぎた国内の企業がどこまで持ちこたえられるのか。今後、倒産企業数が拡大していくのは不可避ではなかろうか。
さて、そんな日本の状況を反映しているのが株式市場の値動きだろう。約40%の国民がワクチン接種を終えたアメリカのダウ平均株価が、4月16日に最高値を更新しているにもかかわらず、日経平均株価は2月10日の高値を超えられないまま、もみ合いの展開となっている。
もちろん、現在の日経平均株価の値動きは、今回の緊急事態宣言発出を織り込んだ上での価格推移ではあろうが、「sell in may(セルインメイ、5月に売れ)」という有名なアノマリーを直前に控えた値動きとしては心もとない。
さらに、アメリカの経済をけん引しているナスダック市場の値動きも、最高値近辺とはいえども重たく感じられる。もし、コロナ禍がワクチンによって打開され、経済が正常化した暁には、次に待ち構えているのは金融緩和のテーパリングだけではない。ナスダック市場の大半を占めているGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)への規制だ。
そして、今やコロナバブルの象徴ともいえる仮想通貨市場においても、これまでの暴騰から一転し、先週末から急落が起こっていることも気がかりだ。仮想通貨市場は、株式市場の値動きに前後して相関性を持つためである(後編に続く)。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)