不振の「宿泊施設」関連事業を展開する、手間いらずが堅調な理由

2021年3月30日 16:45

 新型コロナウイルス禍で、ホテル業界が顧客激減から厳しい経営環境に追いやられていることは認識していた。「売り」を決断せざるを得ない業者がいる一方、アパ(ホテル)グループの元谷外志雄代表が「いい物件なら積極的に買いに向かう」としていることなども耳にしていた。

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 だが兎にも角にも驚かされたのは、詳細は省くが2月1日の『帝国ホテル、客室をサービス付きの「アパート」に 1カ月36万円』と題する共同通信の記事だった。

 ホテル絡みのビジネスを展開する企業は「投資対象としては厳しいな」と思わざるを得なかった。と同時に逆に、「そうした環境下でも収益を維持している企業はないものか」と発見に興味を覚えた。浮上してきたのが、手間いらず(旧社名:比較.com)。「宿泊施設対象のネット予約事業」と、「宿泊施設向け予約管理システムのアプリ販売」が事業の2本柱。

 前6月期は「禍」の影響を受けながらも、「21.5%増収、31.7%営業増益、6.5円増配26.5円配」と踏ん張りを見せつけた。そして今6月期も「不透明感の深さ」に言及しながらも、「1.9%増収、1.7%営業増益、0.5円増配27円配」計画で立ち上がった。

 そして開示済みの中間期は、「売上高で期初予想比3200万円増、営業利益3600万円増」で通過している。背景を、どう捉えればよいのか。アナリストは、こう説明する。

 「ホテル業界は生き残りをかけた現状に置かれている。顧客の回復に見通しが立たない中、それだけに合理化が必須。コスト減を実現する体制整備がサバイバルの命綱。その意味で、手間いらずのアプリの需要が高まっている」。

 では、手間いらずの(宿泊施設向け予約管理システム)「アプリ」を導入することでどんなことが可能になるのか。以下の3点に要約できる。

■予約の管理業務に必要な「在庫(空き室)」「予約の有無」「料金」が画面上で、一括管理できる。自動的に「販売(予約)停止」等の措置が、リアルタイムで可能になる。

■他社の予約サイトとの一元管理が可能。競合他社の予約状況や、販売価格の推移がチェックできる。

■つまり在庫数や他社の情報に応じ、販売価格の調整が可能となる。値上げ/値下げが自動的に調整される。

 ちなみに「ネット予約事業」にも、旧社名の痕跡が色濃い。「ダイナミックパッケージ」と称される枠組みで「旅先の目的地・出発日・人数・宿泊施設料金・希望航空会社」をインプットすると、航空運賃・宿泊料金の総計が安い順にリストアップされる。高い評価を受けていた。

 だがいまは、件の「アプリ販売」でコロナ禍の収束を待つという状況ではある。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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