DDホールディングスとトレタの業務提携を、評価したい
2021年3月29日 17:11
「厳しさ」を改めて「痛感」せざるをえない業務提携が発信された。3月16日にトレタが、『DDホールディングスグループとトレタが業務提携を締結。食材仕入れコスト削減を実現する中小飲食店向け「仕入れ支援サービス」スタート!』と題するリリースを配信した。
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DDHD(東証1部)グループのDDプラスと、飲食店向け予約/顧客台帳サービス「トレタ」を開発・販売するトレタが16日から「仕入れ支援サービス」をスタートするという内容だ。
DDHDの2本柱は飲食事業(居酒屋・レストラン・ウェディング事業等)と、アミューズメント事業(ビリヤード・ダーツ・複合カフェ・カプセルホテル等)の経営・企画・運営。展開事業のブランド数は16/店舗数437店舗(2021年1月末時点)。DDプラスは展開店舗の食材の仕入れを担っている。
トレタは2013年に現代表の中村仁氏が設立した、広範な飲食業を会員とする予約/顧客管理アプリを開発・販売する企業。
そう、ともに飲食関連業者である。リリースにも記されているがコロナ禍で、「飲食店は乾いた雑巾を絞るようにしてさまざまなコストの削減に取り組んできた」「今後より一層の思い切ったコスト削減が求められる」「食材原価は飲食店のコスト構造で大きな比率を占めている」「その一方で発注量の少ない中小規模の飲食店は仕入れ原価における交渉力が弱く、希望通りの配送日を設定できないなど、コスト面で大きな課題を抱えていた」「天候などに価格や品質が左右されやすい食材の仕入れをいかに安定させ、低減させていくかは中小のみならず外食産業全体の課題である」-正鵠を射ていよう。
では提携は具体的にどんな枠組みで進められていくのか。
★DDプラスがこれまでに培ってきたノウハウやルートを活かし中小個人店に広範に食材を提供する。購入価格は年間を通じて低価格・固定。仕入れコストの削減/天候などの相場変動に左右されない安定化を図る。商品のサプライチェーンや品質を管理、高品質で一定規格の商品を提供する。結果、中小個人店でも大手チェーン並みの価格・品質の食材仕入れを可能にする。
★トレタはトレタ導入店を中心とした飲食店のネットワークを活用し、仕入れ支援サービスの案内を行う。結果、利用店の拡大・成果を最大化し利用店増/スケールメリットによる価格低下・安定化に寄与する。
★具体的には1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)の産地と直接契約の青果やグロッサリー(加工済み食品/常温保存食品)、酒・飲料など6カテゴリー・600品目を365日配送する。
飲食業の厳しさが際立つ中、また中小個人店の今後を勘案する時評価したい動向と言える。DDHDの今期は「55%減収、85億円営業損失、84憶円の最終赤字」見通し。そうした中で子会社を活かし記した様な仕様を確立しようという施策は、大いに評価したい。(記事:千葉明・記事一覧を見る)