家事代行マッチングサイト運営するCaSyの加茂代表に、「脱犯罪の温床策」を改めて質した
2021年3月26日 07:24
昨年12月24日の企業・産業欄に、『マッチングサイトを犯罪の温床としないために、家事代行仲介のCaSy(カジー)が打った策』と題する記事を投稿した。
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昨年、マッチングサイトを介して在宅ワーカーに雇われた男性シッターが、(コロナ禍で保育園が休園中下の)幼児に性的虐待を働くなどの事件が起こった。カジーも家事代行希望者と代行スタッフ(キャスト)を結ぶマッチングサイトを運営している。
そうした状況下でカジーは12月7日時点で、『家事代行のCaSyと本人確認APIのTRUSTDOCK、本人確認業務で提携開始―マッチングプラットフォームでの性犯罪など背景に、利用者・キャストの身元確認強化~家事代行サービスCaSyにe―KYC/本人確認API「TRUSTDOCK」を導入~』と題するリリースを配信していた。11月に提携契約を締結、1月にも連携システムの運営を開始する予定だとした。これが主たる内容だった。
そして3月3日『本格導入開始』とするニュースレターを報道関係者宛てに送信した。
TRUSTDOCKは日本唯一のeKYC(本人確認)対応のデジタル身分証明書「TRUSTDOCK」と、本人確認API(本人確認支援の有償サービス)を提供している。3日の送信では、詳細は省くが昨年カジーのキャストが利用者から性的ハラスメントを受けていたことも記されていた。そうした事態を踏まえた上での「以前から進めていた安心・安全策を更に強化する.策として今回・・・」ということだった。
だが私には拭いきれない疑問が残った。「TRUSTDOCKも、罪歴がある人物は確認できるだろうが“性的ハラスメント”などの属性までは見抜けない。昨年発生したような事態を事前に察知し防げないのではないか」と、である。広報担当者に連絡を取り疑問をぶつけた。「ご指摘はもっとも。当社の代表(加茂雄一:創業者社長)に意見をぶつけてみて欲しい」となり11日に、Zoom取材をした。
加茂氏は「利用者には時間を、キャストには働くやりがいを安心して提供できるプラットフォームを作り上げる」と語り始め、そのために打ってきた幾多の施策を示した。
設立時(2014年)の「クレジットカード決済に限定」「規約への禁止行為の明記」以降、本人確認の安心・安全施策が既に執られてきた。両手両足の指では数えきれない施策が敷かれてきた。
利用者に向けた施策だけではない。キャストへの教育体制を改善し続けていくことは無論の事とし20年には「キャストの働く前の反社行為の自己申告」、そして今回の「自己申告のDB(データベース)との照合」も導入している。
縷々語った上で加茂氏は「検討中」とし、件のセクハラ事件等に対応するための策を示した。「『事業者間の共同ステートメントの発信』『事業者間の情報連携』体系を、早急かつ積極的に構築していく」としたのである。
CaSyは日経新聞が先々のいわゆるユニコーン企業候補として発信している「NEXT1000」組。加茂氏は「安心安全を追求し続けていく」と結んだ。追求の歩みを見届けていきたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る)