カシオペア座に新星 日本人が発見
2021年3月23日 16:51
AAVSO(アメリカ変光星観測者協会)は19日、三重県亀山市の中村雄二氏が、カシオペア座に新星を発見したと報じた。発見されたのは3月18日のことで、大望遠鏡ではなく、デジタル一眼レフ(レンズ焦点距離:135mmF4)でのCCD画像による。またこの新星は、Nova Cassiopeiae 2021と命名されている。
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AAVSOの情報によれば、発見以来この新星は増光を続けており、運が良ければやがて肉眼でも見えるようになる可能性もあるという。発見当初は9.6等星であったが、19日時点で7等星ほどの明るさになっている。また、発見者の中村氏によれば、3月14日時点でこの位置に13等星よりも明るい星はなかったとのこという。
Nova Cassiopeiae 2021が発見された位置は、食変光星CzeV3217と一致しており、この種の変光星では最大光度を知ることができれば、その星までの距離を正確に特定できる。もしも最大光度が7等星ということであれば、地球から約3万光年あたりに位置することになるが、まだ増光していく可能性もあり、7等星よりも明るくなれば距離はもっと地球に近いということになる。
銀河系外で新星が見つかることはよくあることだが(年に数回程度の頻度)、銀河系内で見つかることはまれだ。今回の新星はすでに7等星の明るさになっているため、銀河系内にあることはほぼ確実である。また肉眼で見える明るさになる可能性もあり、もしそうなれば、10年に1度くらいしかお目にかかれない珍しい存在となる。
Nova Cassiopeiae 2021は、食変光星CzeV3217で起きた異変によって急激に増光した新星である。CzeV3217は、暗くて重い白色矮星の周りを比較的明るい主系列星が周回し、これら2つの星の位置関係によって明るさが微妙に変化する食変光星であった。だが白色矮星に主系列星が接近しすぎたため、白色矮星の引力に抗うことができなくなり、吸い込まれていく際に著しく増光したのではないかと見られている。
カシオペア座を眺めていてもしも普段見かけない星をあなたが見かけたとすれば、それはNova Cassiopeiae 2021かもしれない。3月いっぱいは夜空を眺める機会があったら、ぜひともカシオペア座に注目してみよう。(記事:cedar3・記事一覧を見る)