嘘か実か? 3週間で250万円暴騰のビットコインと期待される「安全資産」としての役割 後編
2021年2月22日 17:03
その理由として、コロナショック後(2020年の4月~6月)の株式市場V字回復に対する、一定のリスクヘッジ策として理解することはできないだろうか。つまり、「安全資産」としてのゴールドの保有である。
【前回は】嘘か実か? 3週間で250万円暴騰のビットコインと期待される「安全資産」としての役割 前編
もちろん、安全資産はゴールド以外にも、預金や国債など多種多様に存在しているものの、アメリカにおけるドル通貨の預金や国債については、現在のような長期的な低金利政策下では、インフレ(通貨安)によって資産価値を失う結果にもなりうる。
また、これまで安全資産とされていた日本円やスイスフランについても、「円高スイスフラン高・株安」から、「円高スイスフラン高・株高」という値動きとなっており、安全資産としての妙味が失われている状態だ。
そこで、次のリスクヘッジ先として挙げられるのが、「無国籍通貨」といわれるゴールドである。ゴールドは元来、株価が値下がりすれば逆相関で値上がりする安全資産の代表的な存在であり、日本円やスイスフランと比べても、安全資産としての性質は未だに維持しているといえる。
つまり、2020年の4月~6月期において、バリック・ゴールド社へ投資をした場合、実体経済とかけ離れた株価上昇がいつ下落に転換したとしても、間接的なゴールドへの投資となることで、リスクヘッジが可能だったと考えられるのだ。
そして、ゴールドのような「無国籍通貨」を安全資産と捉えることができれば、「無国籍通貨」の1つである仮想通貨についても同様に、安全資産の役割を持つことが期待されることにならないだろうか。
現在のボラティリティの高さや株価との相関性はさておき、この仮想通貨の高騰が、安全資産として買い求められている状況であるとすれば、ブラックロックやバークシャー・ハザウェイの動きは、「安全資産」の模索であるという意味において、一貫した動きと捉えることができるのだ。
最後に、現在のビットコイン暴騰については大きな注意点があることをお伝えしておく。投資運用の基本として、「売買高(出来高)を伴っていない価格の変動は不安定になりやすい」といわれているが、仮想通貨については、最初の暴騰暴落を演じた2018年以降で出来高が激減し、2019年以降でおいては、かなりの低水準で推移している。
価格が暴騰している2月初旬以降の出来高はさらに低く、反転した場合の下落スピードは相応に速度が速くなることが予想されるため、取引をする場合には十分に注意されたい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)