ビットコイン500万円の大台突破を後押ししたテスラと、中国政府との駆け引き 前編

2021年2月16日 07:55

 ビットコインの急騰が止まらない。暴騰と暴落を演じたのは2017年12月から2018年2月にかけてであり、それでも暴騰と言われた価格は260万円には届いていなかった。その後、40万円まで価格を落としたが、2019年夏には140万円まで値を戻し、コロナ禍で再び40万円まで値を下げた後に、右肩上がりで現在の価格まで暴騰している。

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 その理由は諸説あるが、「コロナバブル」が暴騰の一助となっていることは紛れもない事実であろう。コロナ禍に対する各国の財政出動が飽和状態となり、行く先を失った緩和マネーが株式のみならず、仮想通貨にまで流れ込んでいるというわけだ。

 そして、暴騰が加速した時期を振り返れば、確かに株価上昇の時期と相関関係があり、巨額の財政出動を掲げていたバイデン候補の勝利が濃厚となりつつあった時期でもあることが分かる。つまり、全国民に無条件で給付金が出る場合、生活に窮していない世帯のマネーの動きはどうなるだろうか。

 日本では投資文化が根付いていないために貯蓄へ向かうが、アメリカなどにおいては投資に向かう。さらに、アメリカにおける全国民への給付金総額は、計3回の合計で34万円程度にもなっているのだ。このような背景を鑑みれば「全国民への無条件の給付金は、消費促進ではなく貯蓄になる」と言ってはばからない、麻生財務大臣の言質にも一部頷ける。

 事実として、投資運用のハードルを下げることで利用者数を延ばしてきた投資運用アプリ「ロビン・フット」が、コロナ禍でさらに利用者数を増やしていること、そして、その個人投資家の勢力が機関投資家を打ち負かすほど大きな力となった結果、ゲームストップ社株のマネーゲームにつながっているのだ。

 さて、ビットコインは、近年の最高値である260万円を上抜けた後、現在の価格まで暴騰したわけだが、値上がりの大きな材料となっているのが、アメリカの電気自動車メーカーであるテスラの大規模投資公表であった。

 テスラについては、日本人にとっては馴染みが薄いため、シリコンバレーを拠点とする電気自動車のベンチャー企業として説明するのが適切かもしれない。実はテスラの登場まで、日本のトヨタは名実ともに世界一の自動車メーカーとして2位以下を突き放し、不動の王者として君臨していた。

 しかしながら、2003年の設立後、わずか17年程度でトヨタの株式時価総額を超えてしまったのだから、その存在は無視できない。なお、トヨタとは2010年に業務提携が俎上に乗り、テスラへの株式投資も話題となったが、両社の関係は進展しないまま、その関係は解消されている。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

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