ANAは厳しさの中で、「経営」を身に着けた!?

2021年2月1日 15:31

 1月29日に発表されたANAホールディングス(以下、ANA)の4-12月期決算は、「66.7%の減収、3624億円の営業赤字、3095億円の最終赤字(過去最大)」となった。2021年3月期の純損益も5100億円の赤字見通しを据え置いた。要因は改めるまでもなく、「国際線の壊滅状態(4-12月期の旅客数は前年同期比約96%減)」であり「期待のGO TOトラベルの頓挫を含めた国内線の大幅低迷(約72%減)」。

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 ANAはこうした未曽有の危機の中で、それなりの「以降の備えた策」を講じている。「飛ばない飛行機を抱えているだけで日々赤字が増える」宿命に対応すべく、「効率が低い大型機の早期退役などで760億円の特損を(事業構造改革費とし)計上」。自己資本劣化の対応策として「借り入れ/融資枠約1兆円の確保」や「増資で約3000億円の調達/一部が資本とみなされる劣後ローン発行」。並行して「給与削減を軸にコストカット」にも深く手を突っ込んだ。

 だが勿論、世界的な新型コロナウイルス禍に収束感が見えない限りは、先々の霧は晴れず運航感は回復しない。

 ただ私は「焼け石に水」論とも揶揄されたりもするがANA(JALも同様に)は、こと「経営」に関し「1歩、2歩」踏み込む姿勢を身に着けたと捉えている。

 例えばANAは、非航空事業分野の核の1つとして「仮想旅行」に注力し始めている。3次元コンピューターグラフィックスを活用し、実際の国内外の都市やその風景を再現。その場に居るような疑似体験を実現させようという事業だ。

 子会社の「ANA NEO」が具体化を担う。関係筋の話では、「単なる疑似体験だけにとどまらず、仮想空間地の名産品を土産として購入することができる。観光地のイベントの参加が体感できる枠組みまで視野に入れている」という。

 私の海外旅行体験はニューヨーク(証券取引所見学ツアー)と、オーストラリアのケアンズと極マレ。ケアンズは娘が高校生活を送っていた関係で、何回となく飛んだ。

 もう四半世紀前のことだ。当時はJALとカンタスのジョイント便だけが直交。夜に立ち明け方に着くといった状況。必ず機内食を堪能し水割りを楽しんで眠り、目覚めるとケアンズという海外旅行だった。既にどんな機内食だったかは失念している。だが懐かしさからか、「旨かったな」という思いだけは残っている。

 ANAは昨年12月から、国際線エコノミークラスの機内食の販売を始めた。1月20日の毎日新聞Webはメニューを例えば<<1セット3種類の4食入り9000円。赤ワインで煮込んだハッシュドビーフ/ビーフハンバーグステーキ/デミグラソースシーフードのトマト煮/牛すき焼き丼/鶏唐揚げと彩り野菜弁当/白身魚照り焼き>>云々と紹介している。

 いま海外旅行を楽しめない海外旅行通には、地上で食せる機内食はコロナ禍明けまでの拠り所と言えるのではないか。そんな(事業の)着想は、ANAやJALの「非航空事業」拡充に今後役立つと考える。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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