下方修正:鎌倉新書の株価反発の読み方
2021年1月3日 08:08
終活ビジネスの大手:鎌倉新書の株価は何を教えようとしているのか。同社は周知の通り「いい葬儀(葬儀社情報)」「いいお墓(墓地・墓情報)」「いい仏壇(仏壇・仏具情報)」を軸に、「遺品整理ナビ」「いい相続」のポータルサイトを運営している。
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そんな鎌倉新書が2021年1月期の第3四半期を開示したのは、12月10日。11日の株価は前日比150円高の1100円。ストップ高で終えた。
今期は「22.6%増収、36.3%営業減益、48.3%の最終減益」計画で立ち上がった。発表時点では既に、コロナウイルス禍問題が浮上していた。「墓の買い控え」「葬儀の施工単価の下落/低価格葬儀も減」「仏壇の売れ行き減」が、想定以上に深刻化した。
営業損益でみると第1四半期が「4700万円の損失(前年同期:1億2700万円の利益)」、第2四半期は「8100万円の損失(3億1700万円)」。第2四半期開示時点(9月10日)で通期計画を「3.9%の増収(33億9000万円)、66.9%の営業減益(2億6500万円)、73.4%の最終減益(1億7000万円)」に下方修正した。だが10日の終値に対し11日の始値こそ890円:5円安と小甘かったが、株価はその後回復基調に転じた。
11月13日には1250円まで買われ、利食い調整場面となった。12月10日に935円まで調整後、11日のストップ高。結局、大納会の終値は1143円。IFIS目標平均株価は1500円。
株価動向を、どう読むべきか。
着目すべき1点は、第3四半期(2月~10月)の営業損益が前年同期比90%減も「5900万円」と黒字に転じたことであろう。「上半期の地獄から、下期入りして回復基調に転じた」とされる。
こうした見方が浮上してくると、こんな芽も出てくる。例えば旧日本短波放送の後輩であり現在、証券市場の動向・解説・銘柄評価で斯界の第一人者と言っても過言ではない和島英樹氏は、11月16日現在の鎌倉新書の「PSR(株価売上倍率):13・55倍」を引き合いに、「成長株の評価に使われる指標で、おおむね20倍以上で割高、1倍以下なら割安と判断」と説明している。未だ株価成長の糊代あり、としているのである。
内閣府によれば、高齢化率(総人口に占める65歳以上の人口割合)2017年に27.7%だったものが40年には36%を超えてくる見込みだという。高齢化社会は進む。構造的には確かに、「その分終活ビジネスの需要は少なくない」と言える。
だが一方で少子化時代の進捗もあり、高齢者の間に「簡素な葬儀⇒共同墓石でも構わない」とする捉え方が増加してきていることも事実。そうした変化を「コロナ禍が助長した」とも言える。さて・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)