シボレー・新型カマロに「クラウドストリーミングナビ」 (2) アメリカではナビは使わない?
2020年12月24日 16:46
パイオニアという企業は、かつてはレーザーカラオケとGPSナビゲーションで成り立っていたのだが、次第に韓国企業に押されてオーディオなどが売れなくなってきたころ、アメリカ進出を考えたようだ。しかし、日本とは違って当時はGPSナビゲーションを使う習慣がアメリカにはなく、販売に苦戦していた。
【前回は】シボレー・新型カマロに「クラウドストリーミングナビ」 (1) GPSナビはクラウドで最新地図
筆者は、懇意にしていたパイオニアの技術者に強くアメリカ市場に進出していくことをアドバイスしたのだが、「市場がない」とパイオニアは考えていたようだ。優秀な営業マンであれば、「現在、市場がない」だから「チャンスだ」と考えるのだが、パイオニアには優秀な営業マンが少なかったようだ。
その後売る商品がなくなり、「パイオニアの危機」がささやかれ始めたのは15年ほど前だった。プラズマテレビが売れなかったのが致命傷になったかもしれない。ジュークボックス事業の後始末の支援を頼まれたことがあったが、子会社に社員ごと移管して、社員をリストラしようとする姿勢が鮮明だった。そこで、「事業全部を私に売ってくれ」と頼んだのだが、「リストラの理由付けがなくなる」とのことで、もちろん正面切ってパイオニア自体が言ってきたわけではなかったが音沙汰がなくなった。
そして、パイオニアの「命運は尽きた」と感じたのだが、やはり10年ほどたって身売りすることとなった。積極的な事業展開が出来ないと可能性はゼロになってしまうものだ。日産自動車のケースにも当てはまるのだが、果たして営業展開だけで活路は開けるのだろうか? 「ルノー・日産・三菱」の新規事業戦略が出来ていることで期待したい。
余計な話はそこまでとして、シボレー・新型カマロのスタイリングでは、フロントマスクが厚いことが歴代のイメージとは違うところだ。その理由には、スタイリングの要素だけでなく、斜め衝突のクラッシャブルゾーンの関係があるのではないかと最近は考えている。つまり、衝突安全性能の要求も高度になり続けており、オフセットやサイド衝突に加えて、現在は斜め衝突テストも行われているからだろう。
そのために、かつてスポーティーカーの定番だったウエッジシェイプからの全部が薄くとがったデザインから、現在の「ズンドー」とも思えるスタイリングになってきたのであろう。
新型カマロはスタイリングも変わってきたが、アメリカでもGPSナビが使われるようになってきたのは当然と感じる。広い国土で大陸横断を車で行う人もいることから、GPSナビには得意の場面であると見ていたが、それは同時に、行先を地図で見定める従来の方法で十分であるとのことでもあったのだ。それでもガソリンスタンドの位置などは重要で、ナビゲーションに収められた便利な機能は単なる地図情報ではない利便性がある。
だから「クラウドストリーミングナビ」になるのは当然の成り行きであり、5G通信の普及などで地図情報をいちいちダウンロードして使う理由が希薄になってきた。システムの信頼性が上がってくるほど、「最新情報」が有用になってきたのだろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)