テンバーガー・・・やはり私も狙わない!

2020年12月23日 09:02

 前倒しになる年末の原稿〆切を骨折した右腕の「痛~い」リハビリに耐えながらも、幸い動く手首から先で凌ぎ一息ついたタイミングだった。年に数回原稿の依頼を受ける週刊の資産運用新聞から、「年末・年始のご予定は」という電話が入った。「とりたててない」と答えると、「『丑年相場のテンバーガー候補銘柄』というタイトルの原稿を、(1月)10日までに書いて欲しい」と依頼された。

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 テンバーガーとは、短期間で株価が10倍に化ける(可能性がある)銘柄である。「僕はそういう記事は書きたくない。『丑年相場の入り口で買い、中長期保有して株式投資で資産を作る法』なら書く」と返したら、「テンバーガーに偏見を持っているのではないか。資産運用に通じた公認会計士の足立(武志)さんを取材なさったらどうか」と突っ込まれた。

 妙に、悔しくなった。足立氏が投資に関する幾多の著書を上市しておられることは知っていた。が、テンバーガーに知見を有しておられることは知らなかった。ましてや面識もない。「一両日中に連絡する」と電話を切った。

 ネット検索で足立氏とテンバーガーに関する有無を調べた。幸い2020年5月14日付けの足立氏の『テンバーガー(10倍株)を見つけよう~基礎知識編』に出会った。読んだ。「他人の褌で相撲を取る」ようで恐縮だが、要約すると以下のような内容だった。

【買った株の株価が10倍になったことはあるか?】―筆者は何度もある。「そんなの、無理だ」と思っている方は、ぜひ考え方を改めて欲しい。決して珍しい話ではないのだから。

【テンバーガーにまで株価が上昇する3つのパターン】
 (I)テーマ株相場の流れにより短期間で一気に上昇するケース: 例えば医療・関連材料を手掛ける川本産業(注:一般向けには消毒・殺菌や手指消毒製品がある)の株価は、コロナウイルス感染の拡大をテーマにした相場の中で、19年8月の381円が20年2月には4000円になった。

 (II)大きく売り込まれたもののその後業績が回復して大きく上昇するケース: 例えばサンフロンティア不動産は、11年8月の69円が13年4月には1529円になった。

 (III)業績の伸びが何年も続いたことにより株価が大きく上昇するケース
 日本M&Aセンターは12年8月の170円(株式分割考慮後)が20年の1月には4110円になった。

 さて、困った。I・IIは見過ごしにしてもIIIは「成長株投資」の持論と合致する。

 だが最後で、救われた。足立氏はこの記載の最後を、こう結んでいる。

【これだけは言いたい!テンバーガーは「狙わない」】―筆者が経験したテンバーガー株は、いずれも「将来の株価上昇が期待できると思って、たまたま買った株。株価が10倍になると思って買ったわけではない」。

 頷いた。と同時に前記の原稿の依頼先に「今回は見送りということで・・・」と断りの電話を入れた。丑年相場の「好収益予想企業」に的を絞り、調べることに年末年始は費やす。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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