難防除雑草オオホナガアオゲイトウ、日本の主要港に定着 東邦大の研究

2020年12月22日 08:33

 もともといた場所から、別の場所へ持ち込まれたり、広がったりする外来生物。植物、動物を問わず、外来生物は総じて繁殖力が強く、生息移転先の地の生態系を破壊するほか、農作物や漁業に悪影響を及ぼすとされる。2005年に外来生物法が制定されて以降、国を挙げて対策が実行されているものの、明確な打開策を見いだせずにいる。

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 そんな中、東邦大学理学部の研究グループは18日、外来植物のオオホナガアオゲイトウが、枯らしにくい雑草・難防除雑草として近年、日本に移入し国内の主要な港湾で定着していることを発表した。穀物の輸入経路を通じた移入とみられるが、輸入穀物を介した外来雑草への実行的規制が進む見込みはなく、早期警戒と対策の立案が求められそうだ。

 オオホナガアオゲイトウは、北米を原産とする1年草。茎は1~2mに達し、ほとんど無毛であるほか、葉柄は、下方の葉で13cmまで伸びるなどの特徴がある。1930年代から北米より渡来し、本州から九州に生息が広がっていたが、問題性は指摘されていなかった。

 しかし近年は、原産国の米国において、除草剤のグリホサート剤の増大に伴い、抵抗性を付けるなどの進化が問題化。除草剤への抵抗を持つ種が、輸入穀物への混入によって次々と日本へ移入しているとされ、対策の実行が待たれている。

 そこで、以前からオオホナガアオゲイトウに関する研究を続ける東邦大の研究グループは今回、国内の港湾で採取した種の遺伝的解析を行い、除草剤への抵抗がある米国由来の種かどうか確証をつかむため、実験に取り組むことにした。国内の14港湾を調査し、グリホサート剤の効果を緩和する標的遺伝子がある種が生息しているかどうかを調査。

 すると、14港湾のうち、3港湾で除草剤への耐性がある種が見つかり、うち1港湾で安定的な生息がみられた。研究チームは「定着に成功した結果」と分析。さらに、米国国務省から提供された種と、岡山大学で自家栽培される種と比較検討したところ、安定的に生息する港湾の種は、米国の種と遺伝的に近縁であることが証明され、難防除雑草としての種が国内に定着している事実を固める形となった。

 グリホサート剤に抵抗がある種が発見されたのは2005年で、今回の研究成果は、難防除雑草に指定されるオオホナガアオゲイトウが報告から10年余りで定着した事実を証明した。研究チームは今後、環境省への提言を含め、オオホナガアオゲイトウの生息区域の拡大防止に向けた行動に乗り出すとみられる。(記事:小村海・記事一覧を見る

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