円高に無力な日本銀行とワクチン接種に揺れる日本株の行方 前編
2020年12月20日 08:01
アメリカ大統領選挙は、12月14日の選挙人投票によって306人を獲得したバイデン候補が勝利を確実とした。今回の選挙人投票では、有権者の一般投票の結果に従わない、いわゆる「不誠実な選挙人」に罰金や交代を求めた州の決定を「合憲」とする判断が最高裁でなされていた影響もあり、「不誠実な選挙人」は0人だった。
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トランプ大統領は未だに敗北を認めていないが、共和党の重鎮であるミッチ・マコネル上院院内総務は、選挙人投票の結果を受けてバイデン候補に祝意を伝えたことからも、紛糾したアメリカ大統領選挙もいよいよ大団円となりそうだ。
ともあれば、次に期待されるのは経済対策の超党派合意であるが、マコネル上院院内総務は超党派合意が「間近だとみえる」と発言していることからも、大統領選挙の結果を経て、約9000億ドル(約92兆8000億円)規模の経済対策の合意が加速しているといえよう。
一方、コロナウイルスは未だに猛威を奮ってはいるものの、イギリスに続いてアメリカでも、いよいよワクチン接種が医療従事者を優先として開始された。マイク・ペンス副大統領に至っては生放送での公開摂取を行って安全性をアピールしているが、一般人への接種は1月中にも行われる予定だ。
このような情勢を踏まえて、アメリカのダウ平均株価は30,000ドル水準を維持しており、日経平均株価についても27,000円台に再トライしているところではあるが、ここにきて「円高」が止まらない。12月18日(金)の終値で103円台を守ったものの、前日には103円台を割り込む場面があったのだ。
3月9日には株式市場の暴落に伴い、2019年1月のフラッシュクラッシュを下回る1ドル101.168円まで下落したものの、その10日後には110円まで値を戻していた。しかし、それ以降はリスクオフの円高ではなく、株価の上昇に反比例して次第に値を落としている。
つまり、今回の円高はリスクオフの瞬発的な円高ではなく、「ドル安につられた円高」であることがこれまで以上に懸念される理由だ。実は、金利低下を伴う株高によるリスクオン環境では、最もドル安が進みやすい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)