日産インフィニティ・QX55発表 日産の営業戦略 (3) 救世主となり得るのか新型QX55

2020年12月9日 17:17

 日産はこのところ、キックス、アリア、ノート、そしてフェアレディZと新車投入を続けてきているが、これまでの10年間は日本国内市場に新車をほとんど投入してこなかったのが不思議なぐらいだ。カルロス・ゴーン元会長の1千万台到達の増産計画で、モデルチェンジサイクルが伸びたと言い訳しているのだが、それも妙なことだ。営業施策として定期的なモデルチェンジ、新型車投入は必須のことであると誰もが知っていることだ。

【前回は】日産インフィニティ・QX55発表 日産の営業戦略 (2) トヨタとの実力差の象徴「インフィニティ」

■救世主となり得るのか?新型QX55

 今回投入される新型QX55のスタイリングは中型SUVクーペで、豪華仕上げのインフィニティブランドの中核モデルだ。SUVでクーペスタイルとは、個人的には少々認められないスタイリングだが、ウエストラインが高いデザインが好まれる現代では、屋根をクーペにすることもありえるようだ。クーペスタイルならウエストラインが低いのが常識と感じていた世代には、納得しがたい感覚が残る。

 新型QX55のパワーユニットは、2.0リッター直列4気筒可変圧縮ターボ付きとなっている。最高出力268hpで最大トルク380N・m、CVTにマニュアルモードを付けたミッションのようだ。FFとインテリジェントAWDが用意される。国内市場への導入はないようだが、国内で販売されればトヨタ・ハリアーの好敵手となろう。

 2020年6月30日に発売した新型コンパクトSUVキックスは受注好調と伝えられている。後に続く新型ノートが出てくれば、それも好評であろうと期待されている。トヨタ・ヤリスクロスなど小型、中型SUVの売れ行きは好調で、日産も参画すれば売れていくと見られているからだ。

 スカイラインは、インフィニティ ブランドでは「インフィニティ Q50」と呼ばれているので、今回のQX55は昔のスカイラインクロスオーバーの後継車と見ることも出来よう。日産における「ブランド」と「車種」との整理がついていないようにも感じられ、営業戦略の不統一が日本国内の販売戦略の低下をもたらしてきたのではないだろうか。

 カルロス・ゴーン元会長は「コストカッター」と呼ばれ、企業が前進するときの販売戦略について、また製造業の生産技術の整備についてはやはり素人ではなかったのかと、現在では思わざるを得ない。日産の営業戦略混乱の惨状であるようだ。

 新型コロナウイルス感染拡大から業績回復を果たしているトヨタにとっても、新型車種投入が営業施策ではいかに重要かが見えている。日産も業績を回復するだけでなく、日本市場で「市場を開拓する意欲を持ち」、赤字を覚悟の上で今後の市場展開を見据え、「インフィニティ」ブランドを国内に展開する余裕が持てる日が来ることを願っている。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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