車内での換気を「富岳」が示す? (1) 「マスクは効果がない」と言ったのは誰!?
2020年12月5日 19:56
産経新聞の報道によると、❝理化学研究所が運用するスーパーコンピューター「富岳」を使った新型コロナウイルスの飛沫(ひまつ)の広がり方のシミュレーション成果が26日公表され、タクシーの車内や航空機の機内ではマスクの着用や換気が重要であることが改めて示された❞と言う。
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「日本人はこれほど‟物理“が苦手だっただろうか」と考えさせられた。マスクの効果や空気の動きなど、全て「考えてみれば分かる範囲」のことだ。世界有数のスパコン「富岳」に計算させるのなら、「どの程度」と言った詳細な状況が示されなければ意味はない。しかし、それは車種ごとで変化するので詳細は、それぞれ条件設定を変えなければならない。その条件設定を精密にする意味があるとは、とても思えない。
この問題では、「大枠で捉えることが解決策(エアコンを外気導入に設定する)に結び付く」思考過程なのだが、「富岳」が確認したこととなるのだろうか?「AIでは教師データを集めなければ正確な判断は難しい」、と言って「計算式」では天気予報の精度程度になる。それよりも人間であれば常識程度の判断となる。
■「マスクは効果がない」と言ったのは誰
今年の2、3月ごろには「マスクの効果は限られる」「他人にうつすのを防ぐ効果はあるが、防御する効果は望めない」など、専門家と称する人たちの間で大いに拡散された。これも考えてみれば「間違い」と分かることだ。
「ウイルスは不織布の網目よりも小さい」ので通過してしまうのは事実だ。だが、「ウイルスは水分なしでは生きられない」、「ウイルス単体で浮遊しては死滅する」、「必ず飛沫として飛んでいる」。そのため「水分の塊である飛沫はかなりマスクで防御できる」ことが分かる。
大事なポイントは「被ってしまうウイルスを含んだ飛沫を減らすことが出来る」ことだ。つまり「確率を下げる」ことが出来るのだ。
それならば「出来る限りマスクをすることで感染確率が下がる」と分かる。「努力する方向」が分かればそれで十分だ。この場合、どの程度効果があるかについては、現場の状況が違うので主たる場面もデータがなく想定が困難で、無意味となる。
そして、被ってしまう飛沫、すなわちウイルスの数を少なくすれば感染しない。現在では「マスクを通り抜けて少しずつ何回も取り込まれたウイルスにより体内に抗体が出来て、ワクチンと同じ効果が期待できる」とまで言われている。つまり、マスクによって完全に遮断できるのではなく、「感染確率を下げる」ことがポイントなのだ。
さらに、「マスクは感染確率を下げる」のだが、言い換えれば、『“実効再生産数”を1以下にする』ことを狙っているのだ。「マスク」では完璧に感染を防止できないが、「社会全体の視野」では、実効再生産数を感染拡大にならない1以下に抑制することに意味がある。小学生並みの簡単な算数である。これが理解できない専門家、高学歴者が多い。
「知識を覚えている」ことと「意味を理解する」ことの違いや、「物事の複数の組み合わせが理解できるのか」は、知識があることではない。また学問ではなく、現実の世界では「複数の施策を組み合わせて、正しい効果を狙う」ことを理解できないと、どれほど専門的知識があっても、むしろ危険だ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)