マツダ・直列6気筒エンジンをラージ商品群に投入 ロータリーはスモール商品群に?
2020年11月13日 08:43
マツダはかねてより、生き残りをかけてプレミアムブランドを目指してきた。現在は、アメリカでの販売に苦労している。そして新型コロナウイルスのパンデミックで危機的状況に置かれた。値引きしなくても売れる車にすべく販売網も作り変えてきており、商品群についても「プレミアムブランド」らしい品質を求め、ラージ(大型車)商品群で直列6気筒、直列4気筒で縦置き配置、FR駆動を考えていたようだ。
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これは、BMWやベンツなどドイツのプレミアムブランドがとってきたレイアウトだ。マツダ3でロングノーズショートデッキのプロポーションをとってみせたのも、プレミアムブランドの定石を探っているのであろう。しかし、ポルシェはボクサーRRで独自性を作り上げてきている。日本では、スバルがポルシェと同様のボクサーAWDで、やはりマツダのように独自の価値を見出そうとしている。
マツダはプレミアムメーカーとしては出遅れており、この10年ほどで造り方から商品群まですべてを手直ししているのだが、利益率は低迷し続けている。2020年4月-9月半期連結決算の純損益は930億円の赤字となってしまっている。これはトヨタがパンデミックの中でも黒字を確保しているのと比較して、体質の弱さを見せてしまった。
スカイアクティブ・テクノロジーは、損益分岐点低下を成し遂げるための技術でもあったのだが、計画途中での新型コロナウイルスのパンデミック遭遇は不運であるとはいえ、結果、中期事業計画の最終年度を1年繰り延べることとなってしまった。
マツダは11月9日、丸本明社長が “2026年度3月期の目標として新たに「損益分岐点となる出荷台数を約100万台にする」”と発表している。パンデミックによる衝撃を吸収して黒字確保できているトヨタから学ぶところは大きいと思うが、スカイアクティブ・テクノロジーが目指しているところは、トヨタのTNGAを先取りしていたところだった。
しかし、プレミアムカーとして値引きせずに売れるところを目指して、販売店の整理などの途中であったところが痛かった。「損益分岐点出荷台数を100万台」とする目標は、材料仕入れから製造・販売までのシステム改良によるところで、在庫とリードタイム削減の生産技術のカイゼンがポイントだ。
AIによる生産計画の管理とサプライヤーまで巻き込んだ開発の手順が問われている。いよいよネットとAI技術の本格的導入競争となってくるだろう。CASEについては、トヨタグループとして開発費の分担をする中で、商品価値においてマツダの独自性を出していかねばなるまい。スバルとスズキも同様な立場に置かれている。もし独自性を出すことに失敗すれば、トヨタの商品群に取り込まれてしまうであろう。
マツダは「SKYACTIV-Xとロータリーエンジン」で、今後の世界市場の動向次第では、むしろトヨタを助けることが出来るかもしれない。スバルのボクサーエンジンよりも可能性は高い。マツダは自動運転・EVではなく、水素社会が本格的に動き出すときが勝負となろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)