不動産業界で堅調持続:日本商業開発の「特異なビジネスモデル」
2020年11月12日 07:19
日本商業開発。新型コロナウイルス禍で不調を強いられている不動産業界にあって、独特なビジネスモデルもあり収益の「堅調」ぶりを示している。
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前3月期の「86.2%増収、17.9%営業増益、18.3%最終増益」に対し、コロナ禍の影響を勘案「1.1%の増収(750億円)、6.8%の営業増益(56億円)、0.7%の最終増益(32億円)」計画でソロリと立ち上がった。だが開示済みの4-6月期は前年同期比「7.2%増収(92億3900万円)、47%営業増益(6億9900万円)、233.1%最終増益(6億8500万円)」と好調な立ち上がり。今期計画を含む3期間の平均営業増益率は、15.15%増。ちなみに四季報・秋号は今期営業利益を58億円に独自予想している。
コロナ禍にも押し切られない最大の要因はなにか。主軸を占める「JINUSHIビジネス」に求められる。一口で言うと「土地を買う。土地を貸す。土地を売る」。噛み砕くと、こんな具合。
(I)土地を買う: 先々の地域動向や人口動向をリサーチし、転用性の高い土地を購入する。
(II)土地を貸す: 土地を活用したい事業者に、定期借地権契約(20-30年程度)で貸す。スーパー・ホームセンター・ドラッグストアなど生活必需品を取り扱う業者が主体(これまでのケースでは約8割)。建物はテナントが負担し建てる。日本商業開発は地主として賃貸料だけを得る。
(III)土地を売る: 建物保有者(営業店)の順調な展開を確認後、私募リートなどに(評価価値が上がった)土地を売却する。
開示済みの第1四半期では、「ケーズデンキ名古屋森山(敷地面積5512m2)」「バロー(サンドラッグ)北名古屋鹿田(5125m2)」「ライフ川崎大島(4686m2)」をはじめ計11案件が、地主プライベート投資法人に売却されている。総額125億8500万円。
日本商業開発では、「売却した底地に建つ建屋の店舗は殆ど生活必需品を取り扱っている。巣ごもりの流れも幸いした」としている。地主プライベート投資法人は2017年に、日本商業開発をいわばスポンサーに運用を開始した私募リート法人。
JNUSHIビジネスのポイントは「土地の選択眼」「有効入居テナント」「底地仕入れ価格と売却時価格の含み益の多寡」。アナリストは、「3本目の私募リートの立ち上げを急いでいる。対象案件が増えている証しだと言える。そうした一方で財務体質強化として総資産回転率向上(不動産仕入れから売却までの期間の短期化)、有利子負債圧縮のため新規資金の導入を掲げている。今後の展開への備えを心得ている」とする評価を下している。(記事:千葉明・記事一覧を見る)