看護師確保に打たれている施策を垣間見た
2020年11月9日 11:23
10月27日、銀座8丁目で転倒し、救急車で緊急治療を担う病院に運び込まれた。検査の結果は「右眉毛部分殺傷による出血」「右腕肘頭骨折」。午後6時過ぎ。入院は辞退し駆けつけてくれた息子の車で、とりあえず我が住処:埼玉県所沢市の自宅に帰宅。翌朝一番で地元の総合病院へ入院。昨年6月に人生初めて入院を体験したのと同じ病院である。
【こちらも】ワタミ、渡邉美樹氏の学校経営
だが前回と違い、まずもって知らされたのは「今時の入院困難事情」。最大の要因は新型コロナウイルス禍。「ウイルスの検査を受けてもらう。結果が出るまで1時間余り。その如何で入院の可否が決まる」と宣告された。「?」と思った。新型コロナウイルス感染の有無を調べるPCR法では、1時間余では結果は出ないはず。
綿棒の様なもので鼻の中の粘膜を掻き混ざされるような検査を受けた後、検査スタッフに聞いた。「PCR検査か」と。「いや、抗原検査だ」いう。「(ウイルスの)感染細胞が特異的に産生する抗原を検知する新たな検査法」と説明してくれた。
今回の入院でも、「ただでは起きないぞ」と鵜の目鷹の目でアンテナを張った。
周知のように、看護師不足が指摘されている。厚労省では、「2025年における看護師の必要数に対し、最大27万人が不足する可能性がある。25年の必要数は188万人から202万人、対して供給数は175万人から182万人。不足数は6万から27万人」とする推計を示している。25年と言えば、団塊の世代が全て後期高齢者段階入りする。由々しき事態である。
入院した病院も、状況は同じはず。どう、対応しているのか。担当看護師に恵まれた。明るい女性で「私、幾つに見える」というから「30代半ば」と返すと、「ブッー、41歳独身、バツイチ2児の子持ち」とあっけらかん。実家で暮らしているというが、「子育てのためにはお金を稼ぐために手に職をつけなくてはと思い、看護師になった。今年で5年目。もうお礼奉公をする期間は過ぎたんだけど・・・」とご託宣。呑み込めない顔をしていたのだろう。問わず語りにこう話してくれた。
「(ここの病院は)所沢准看護学院か所沢看護専門学校に入学、ないしは在学中の者には在学期間中の入学金や授業料なんかを貸し付けてくれるわけ。その代わりに卒業後はここをはじめ関連の施設でお金を貸し付けてもらった期間と同じ時間数を、お礼奉公(勤務)する仕組み。その働きぶりが認められれば返済は免除になる」。
OECD加盟国の病床100床当たりの看護職員数で、日本の看護師数は(日本の病床数が多すぎるのが原因という指摘もあるが)圧倒的に少ないとされている。看護師確保に病院側も、施策を講じているようである。(記事:千葉明・記事一覧を見る)