スバル・新型レヴォーグ搭載 オフセット水平対向、希燃焼(λ=2)CB18エンジン (2)
2020年10月16日 07:40
■オフセットシリンダー、オフセット量8mmで採用
今回、CB18型エンジンで採用された画期的な技術の1つとして、オフセットシリンダーを採用したことが挙げられる。オフセット8mmであると言う。爆発してシリンダーが降下していくとき、フリクション抵抗が少なくなるメリットが確認されている。オフセット「0」であると、クランクが頂点にあると若干の抵抗となる。
【こちらも】スバル・新型レヴォーグ搭載 オフセット水平対向、希燃焼(λ=2)CB18エンジン (1)
それが、多少オフセット量があると容易に爆発力がクランクにかかり、爆発力が無駄な抵抗にあわなくて済むのは考えれば実感できる。それがシリンダーに斜めの力がかかりやすく、オイルのシリンダー内進入の可能性が高まる。これについてもシリンダーと接するピストン側面に模様を刻み、オイルの流れを制御している。
こうした僅かなフリクション抵抗も、熱効率向上のために削減していく努力が続けられているのだ。この製造技術は、中国を始め世界では容易にまねの出来ないことであり、日本の国際競争力を作り上げているのだ。
■熱効率で発電効率との戦い
CB18型エンジンの熱効率は、40%と発表されている。さらにロングストロークに出来るのなら、もっともっと長く爆発の力を受け止めて回転する力に変えたいところだ。だが、エンジン内部のシリンダーの長さの中で行わなければならず、CB18型エンジンでもほとんどスクエアにするのが精いっぱいのようだ。
バルブタイミングでロングストロークとすることがあたり前になってきているのだが、回転馬力ではダメなのであろうか?燃費で不利になるのは明白だから、リーンバーンにするのも一苦労であったであろう。
CB18ボアピッチ98.6mm、クランク長315.9mm、旧タイプFB16ボアピッチ113.0mm、クランク長350.5mm、CB18はクランク長で約35mm、エンジン全長では約40mm短くなっている。この成果には、材料の質と加工技術の努力が基礎となっているのは当然だ。これでこそ、中国の技術力では簡単にまねの出来ない部分となる。このエンジン技術全般が、日本の大きな競争力となっている。
マツダのSPCCI方式では圧縮比15としているが、CB18は10を少しだけ上回って10.4のようだ。これであると、圧縮比を上げて熱効率を高める余地が残っているように感じる。現状熱効率40%と発表されているが、将来50%以上に引き上げて、発電効率の良い天然ガス発電に追いつくことが出来ると、EVの必要性はなくなってしまうレベルであろう。
■ZEV (zero emission vehicle)無公害車への取り組み
また、最近欧州で始まった、燃料をグリーン水素(電気分解による水素)由来のe-gasと呼ぶメタンガスにすると、ガソリンスタンドを含めてこれまでの自動車工業の雇用が守れることとなる。欧州は、50兆円をかけてこの方向へ進むつもりのようだ。レシプロエンジンでも回収対応は可能であり、現在の精密加工技術も残すことでき、日本社会の石油依存からの脱却も出来る方向となるだろう。
さらに、グリーン水素を使用できるようになると、中国の南シナ海占有の火種があるシーレーン(石油の輸送ルート)を迂回して、輸送コストが跳ね返る影響からも逃れることが出来る。これは、意外に近い将来直面する可能性が高い課題で、これをカードにして中国に利用されると外交で日本は苦しい立場に追い込まれるのだ。
現在、水素エンジンはグリーン水素生成などについてコストの問題があるが、長期的、総合的には欧州の動きに同調するほうが日本としては得策であろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)