我が良き友「サロンパス」の収益状況が厳しい背景

2020年10月14日 07:53

 肩こりや腰痛は「病名ではない」とされる。が、日々の生活で肩こりに悩み、腰痛に難渋している人は少なくない。私も同様。

【こちらも】「サロンパス」の久光製薬株が急伸したわけ

 2018年4月23日の企業・産業欄に、13週移動平均線が26週移動平均線を下から突き抜けたミニゴールデンクロスを軸に『「サロンパス」の久光製薬株が急伸したわけ』と題する一文を投稿した。

 今回は表題の何故を知りたくて久光製薬(以下、久光)を検証した。過程で色々なことを教えられた。

 「腰痛らくらく体操」「腰痛体操」「腰痛予防体操」等の冊子を用意している。某調剤薬局で1冊を入手し、日々体操にこれ務めている。またサロンパスでも有効的な貼り方があることを知った。例えば肩こり。「八の字貼り」は両肩だけでなく首の部位にも貼る。「介の字貼り」は両肩・両首に加え肩甲骨と背骨の間にも1枚ずつ貼ることで有効性が高まる。

 久光の歴史は長い。前身は久光仁平氏が1847年(弘化4年)に興した「小松屋」(薬店)。サロンパスがつくられ発売されたのは1934年。そして1963年には「エアーサロンパス」が販売開始。ここから実質上のサロンパスの歴史は始まる。

 久光の事業の両輪は「医療用医薬品」「一般用医薬品」。収益では医療用医薬品のウエイトが大。それを示すように前2月期の決算短信には、「医療費抑制策が進む不透明な環境下当社は、経皮吸収型貼付剤を中心として医療機関への適正かつきめ細やかな学術情報活動、すなわち有効性・安全性情報の提供を展開してきた」とした上で、具体的に以下の様な商品が名を連ねている。

 「重点商品のケトプロフェン含有の経皮鎮痛消炎剤モーラステープ」及び「モーラスパップXR」、「オキシブチニン塩酸含有の過活動膀胱(頻尿)治療剤ネオキシンテープ」、「皮膚吸収型アレルギー性鼻炎治療剤ネオキシテープ」、「皮膚吸収型パーキンソン病治療剤ハルロヒテープ」等々が記されている。

 一般医薬品でも「湿布薬の前線を走ってきた先進性が確認できる」と指摘される「のびのびサロンシップF」がある。貼り薬には「はがれ易い」という宿命的な部分があった。粘着力を増すのと同時に「四隅を丸くした薄型湿布剤で、貼付後に衣服を着てもごわつき感がない」という。ちなみに一般薬市場の消炎鎮痛貼付剤ではユーロモニター社から、3年連続で「販売シェア世界NO1企業」の認定を受けている。

 だが今期の通期計画は「9.9%減収、43.2%営業減益」と厳しい。要因は一過性かつ安易とは言い難い、多重な難題である。

 「昨年10月に続き4月の2度にわたる薬価引き下げ(薬価改定の方向は今後一層頻繁化することが予想されている)」。「コロナ問題に伴う病院・医院の受診抑制。MRの訪問自粛」。「外国人訪日数激減による(人気の)サロンパス売上減」のトリプルパンチ。

 好財務を背景に連続増配を予定しているが、我が良き友の久光の時価は5000円台前半。3月安値から1500円方戻しているが、IFIS目標平均株価は4400にとどまっている。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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