レントラックスに見る、読み解きづらいネット広告業界とコロナ禍の関連
2020年10月12日 17:59
レントラックス(東証マザーズ市場)の経営理念は、「インターネットを駆使し、人々に適切な情報を提供し、便利さを提供する」。
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その中核事業は2つ。成果報酬型の「アフリエイト広告(運営サイトに広告主の商品やサービスを掲載)サービス」と「検索連動型広告代行業務」。
前者はパソコン・スマホ向けに「レントラックス」を運営。特徴は記した通り、成果報酬型。広告主には、登録料などの初期費用や月額料金などのコストが発生しない。あくまで成果が確認(承認)された場合の課金のみ。
アフリエイト広告を取り扱う他の業者に比べて、広告主の利用に対するハードルが低くなる策が執られている。また既存のパートナーサイトの運営者などからの紹介や、直接依頼がなければパートナーサイトの登録ができない「クローズ型」なのも広告主の「信頼感」醸成に功を奏している。
後者はユーザーが検索したキーワードに関連した広告を検索結果画面にテキスト形式で表示する、いわゆるリスティング広告の代行業。レントレックスはヤフーとグーグルの正規代理店。「Yahoo!広告(旧: Yahoo!プロモーション広告)」と「Google Ads(旧: Google Adwords)」を中心に広告の取次代理を行っている。
今回同社を取り上げたのは、私の無知が原因か、前期と今期の収益動向の差異に「?」を抱いたからだ。
前3月期は「8.7%の減収、65.2%の営業減益、78.7%の最終減益」と大幅減益。対して今期は8月13日に上方修正し「6.3%の増収(100億9700万円)、21.2%の営業増益(2億1700万円)、47.5%の最終増益(8700万円)、1円増配9円配」計画。期初計画に対し、売上高3.5%増/営業利益28.4%増/純益24.3%増。
時が時。新型コロナウイルス禍がプラスに働いたのかと思った。会社側の対応は「物販系の案件獲得につながったことは確か。だが、何と言っても大きかったのは健康食品企業からの大型案件の獲得」。
が、それでは「問い合わせにあまりに素っ気ない」と考えたのか、「在宅勤務や出張回避で福利厚生費・交際費・旅費交通費が当初予定を大幅に下回ったのが、上方修正の大きな要因」とした。
なにがなんでも「コロナ禍」を「収益動向」とストレートに結びつけてしまいがちな「先入観」を、いささか反省した次第。だが知り合いのEC情報紙の編集長氏は、「その健康食品の大型案件がECを販路としているかどうかは分からないが、コロナ禍で物品のEC企業が恩恵を受けているのは事実」とした。
コロナ問題が企業業績動向を読みづらくしている・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)