「食から認知症を考える会」に期待したい
2020年10月8日 16:18
遅きに失した、と言うべきではないだろう。「期待したい」と捉えるべきだろう。周知の通り、認知症に治療薬は登場していない。従い現状では、認知症にならないための「早期発見」⇒「予防」の在り方が大切になる。
【こちらも】広がりを見せる認知症保険
9月14日、「食から認知機能について考える会」が発足記者会見を開催した。会の目的を代表の大内尉義氏(国家公務員共済組合連合会虎の門病院顧問)は「日本では(欧州諸国などと違い)エビデンスがなく不正確な情報が多く出回っている」と危惧を示した上で、「食や終活習慣の改善により、脳の認知機能の低下につながることをエビデンス(根拠・証拠)に基づき一般向けに分かりやすく発信する」「認知機能改善を謳う食品などについて、適切な情報を発信する」とした。
また記者会見では「藁を似もすがる思い」を認知症に関して持つ高齢層にとっては、背筋にゾッとするものを禁じ得ない調査結果も発表された。一般社団法人日本認知症予防学会と共同で実施した、「食と認知機能に関する意識調査」の結果が発表された。2020年3月5日から4月1日に及んで、「日本認知症予防学会員380名(医師102名、メディカルスタッフ278名)」「一般市民1030名」を対象として行われたweb調査の結果だという。こんな状況が表面化したという。
●「最も罹りたくない病気」-認知症と答えた人の割合は、一般で47.6%/医師・メディカルスタッフで35.0%とともに最も多かった。
●「食や食成分が認知機能改善に効果があるか」-「あると思う」と回答した割合は一般で54.6%/医師・メディカルスタッフでは77.1%。期待の高さを窺わせたが・・・
★「機能性表示食品等の食成分エビダンスは信頼できるか」-に対しては、一般で20.0%/医師・メディカルスタッフで18.7%にとどまった。
大内氏が冒頭で指摘した「エビデンスがなく不正確な情報が多く出回っている」という危惧を、裏付けるかっこうとなった。
以前にも財経新聞で記したが、認知症と診断された義母を引き取った。地域のケアマネージャーと相談し、認知症者の施設とされるグループホームに入居させた。最初は「なんで私はここにいるの」と怪訝そうだったが、施設のスタッフが企画する催しもの/レクレーションなどを入居者と一緒に過ごすうちに徐々に穏やかな顔つきになっていった。
我々老夫婦二人で義母の世話を見切るのは容易でなかった。グループホームに入居させたことに悔いはない。「金の話」を書くのはいささか今回の原稿にふさわしくない、と思う。が、義母が入居した埼玉県所沢市のグループホームの費用は、月額約14万円だったと記憶している。7年前に93歳で他界したが、正直義母の年金だけでは足りず「預金」にも手を付けた。
「食から認知機能を考える会」の発信に、70歳を過ぎた我が身のためにも耳を傾けたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る)