本気なのか? カリフォルニア州排ガス2035年規制 (2) やはり水素エンジンがベストか

2020年10月5日 18:59

 2035年の排ガス規制によって、カリフォルニア州で販売できる新車は「ゼロエミッション車(ZEV:Zero-Emission Vehicle)」だけに規制され、純電気自動車(BEV)、燃料電池車(FCV)、水素エンジン車に限られてくる。その中で実際にCO2排出量を減らせる見込みは、発電設備の自然エネルギー転換の進み具合に関係しないFCV(燃料電池車)と水素エンジン車になる。

【前回は】本気なのか? カリフォルニア州排ガス2035年規制 (1) 雇用を守れ! 発電を改善せよ!

 BEVは、意外だが発電設備次第となる。自動車産業界だけで解決できないのだ。それにバッテリーのリサイクルシステムも作っておかねば、他の公害を引き起こしてしまうのだ。

 またBEVとFCVは、根本的に産業構造を変えてしまう。バッテリー産業、燃料電池(FuelCell)産業を合わせてもエンジン車の生産に関わる産業規模を維持できないのだ。つまり、失業者を多く作ってしまうことになる。

 もし新たな産業を生み出せたとしても、業種移動できずに取り残される人々を生んでしまい、アメリカ・トランプ大統領の岩盤支持基盤であるラストベルトのような地域や人口を生み出してしまうのだ。産業構造の変革は、産業発展した先進国ほど社会的変革の苦しみを味わうこととなり、新規発展途上国ほど有利となるのが歴史的常である。

 しかし、最近話題に上がってきた水素ガソリン車は、エンジンの燃料をガソリンから水素に変えるだけなので、これまでの自動車産業の生産規模を維持するメリットがある。それでもメリットとデメリットがあり、デメリットとして水素エンジンは若干のNOxなどが生じてしまい、完全なZEVとは言えないのだ。

 それに対しFCVは、ZEVではあるものの、純度99.99%の水素燃料を必要とし、また水素生成にかかるエネルギーも必要として、水素スタンドの設備投資には1件5億円程度が土地代抜きで必要とされる。そのため、水素スタンドの普及が進むのが遅くなるであろう。

 水素エンジン車であれば、水素純度70~80%のe-gas とEU諸国が呼ぶCH4(メタン)燃料で十分だ。すると、現在のガソリンスタンドを改良することで水素スタンド併用とできる。また、水素エンジンは水素とガソリンの両方の燃料を切り替えて使用できるメリットがある。特に、マツダ・ロータリーエンジンは適合しやすいようだ。

 こうしてみると産業構造の変化を起こしにくく、雇用問題を起こさず発電技術、建設などの問題と分離して、自動車産業単独で地球温暖化問題を解決できるのは「水素エンジン車」であると言える。意外に時間的にも急速に解決を迎えるのは、BEVでもFCVでもなく水素エンジン車、特にロータリーエンジンとなる可能性がある。ガソリン車と水素エンジン車が並行して使われる期間が長く想定されても対応できることも考えると、人類は水素エンジン車を進めるほうが利口かもしれない。

 欧州は、水素エンジン車の検討を急速に進めているようだ。アメリカ・カルフォルニア州も水素エンジン車を否定している訳ではないが、BEVブームに押し切られるかもしれない。石油依存の世界から脱出するにも水素社会を目指すほうが効率は良いようだ。特に、日本は輸入100%近い石油よりも水素社会を目指すべきなのであろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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