白色矮星を周回する太陽系外惑星、大気中分子を検収可能に コーネル大の研究
2020年9月18日 13:59
太陽は、今から50億年以上先の未来には赤色巨星化し死を迎えることになるが、この時には、今の数百倍の直径にまで巨大化すると考えられている。そのころ地球は巨大化した太陽に飲み込まれ、どうあがいても人類どころかあらゆる生命体は滅亡を迎えることになると、従来は考えられてきた。だが最近の研究では、そのころの太陽は重力が弱まり、地球の公転軌道がより外側に移動するために、地球が太陽に飲み込まれることはないという意外な見解が示されている。
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最終的には、太陽は赤色巨星になった後、ガスを放出して惑星状星雲を生じさせ、今の直径から百分の1程度の大きさの白色矮星になると考えられている。そのころにも地球に大気が存在していれば、太陽系の遥か彼方の宇宙から、太陽を横切る地球を観測することで、大気の成分を精度よく分析することが可能だろう。
逆に太陽系外の地球型惑星を対象としたこのような分析が、現代の地球上にあるテクノロジーで十分に可能なことが示唆されている。米国アストロフィジカルジャーナルに9月16日、白色矮星の周りを周回する太陽系外の地球型惑星において、その大気を分析可能とする技術を示す、コーネル大学の研究者による論文が公表された。
これによると最近、白色矮星を周回する巨大惑星系WD 1856 + 534が世界で初めて発見され、巨星化した後であっても、その恒星系における惑星が生き残ることが可能であることを示す最初の実例となった。さらには、2021年10月に打ち上げが予定されているジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使い、この惑星の大気の分析が可能であるという。
惑星系WD 1856 + 534は、木星型の巨大ガス惑星ではある。だがこれが発見された事実は、白色矮星を周回する地球型惑星が存在する可能性も高まったことを意味している。さらに惑星系WD 1856 + 534は、白色矮星を1.4日で周回し、地球から見て白色矮星の前を通過する時間は1周回当たり2分と極めて短い。このことが幸いして、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の透過分光プログラムによって大気中の分子成分の分析が可能なのだという。
この事実は、将来、太陽系外で地球型惑星が発見された場合、生命の存続が可能な大気成分を検出できる可能性があることを示唆している。現在の太陽のような若々しい主系列星の周りを周回する惑星だけでなく、もはや死後の星とも言うべき白色矮星の周りを周回する惑星においても、生命存続の可能性があるかもしれず、生命が存在できる惑星候補の範囲がより拡大したことになる。(記事:cedar3・記事一覧を見る)