長いものには巻かれろ ウォーレン・バフェットの動静とゴールド、日本商社 前編

2020年9月12日 16:18

 「潮が引いた時、初めて誰が裸で泳いでいたか分かる」というのは、世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの筆頭株主、かのウォーレン・バフェットの格言である。この格言には様々な解釈があるが、中でも「バブル相場の形容である」という解釈は、バリュー投資家であるバフェットならではの発想といえよう。

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 たしかに、バブル相場を潮とするのであれば、潮が満ちている時にそこで泳いでいる人たちはどんな格好で泳いでいるかは分からない。つまり、バブル相場では企業の価値以上に株が購入されるため、本当の優良株が見分けづらいのだ。

 しかし、バブルが弾けた際に初めて「誰が裸で泳いでいたか」、つまりは企業の価値が株価に及ばず、ただバブル相場に便乗していただけかということが分かるのである。企業の価値を真剣に見極め、将来性があると見込んで惚れ込んだ企業に投資をするという、バフェットならではの格言であろう。

 そんなバフェットは今回のコロナウイルス禍で、これまでの投資戦略の変更を余儀なくされた。もっとも衝撃だったのは航空会社株の全売却だ。「中途半端なポジションは取らない。」という説明のとおり、デルタ航空、アメリカン航空、ユナイテッド航空、サウスウエスト航空の全てを売却し、2020年1~3月期決算に約5兆円の損失をあっさり確定してしまった。

 そんなバフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、コロナウイルス禍で多くのポジションを解消した代わりに、手持ちの現金が約15兆円となったのだが、もちろんこの金額は日本の大企業を買収できるほどの莫大な金額であり、次の投資先がどこに移るかは注目の的だ。我々にとってバフェットの投資先が、コロナウイルス禍後の投資戦略のヒントとなりうるからだ。

 「魅力的な投資先が無い」としてきたバフェットの、コロナウイルス後の初の大型買収として注目を集めたのが、米ドミニオン・エナジーからの天然ガス輸送・貯蔵事業の買収である。買収総額は約1兆380億円であるが、この買収はどちらかとえいえば投資目的というより、バークシャー・ハサウェイ社のエネルギー部門を手がける子会社のための買収といえるかもしれない。(後編に続く)(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

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