公立高校から塾なしハーバード合格 教育環境の大切さ
2020年9月3日 07:03
2012年、テレビで初めて彼女のことを知った時に強い衝撃を受けた。大分のある女子高生が、塾も海外留学経験も無いまま、世界最高峰の大学の1つ、ハーバード大学に現役で合格したと言う事実だ。
一体どんな教育を受けて実現したことなのだろうか。同じ子育て世代であれば強く興味を惹かれるところだが、その答えにまた度肝を抜かれる。高校2年生の3学期に突然、ハーバード大受験を決め、その後の10カ月で対策塾などにも行かず、全て1人で行ったと言うのだ。
どんな家庭環境が子供をこう成長させるのか。この先は、彼女の母親の存在抜きには語れない。
■彼女の母親とは?
「宿題は丸写しでも良い」「苦手科目は捨てれば良い」こう言い放つのは、ひろつるメソッドの提唱者、廣津留真理(ひろつるまり)さん。とってもユニークな彼女の母親である。とは言え、彼女自身、もともと特別な教育理論を持ち合わせていた訳ではなかったと言う。妊娠中に、数多くの育児書を読むことから始め、子育てを通し、自身の「教育」についての持論を確固たるものに変えていったのだろう。
■家庭での親の関り方
ハーバード大に合格した娘のすみれさんは、6歳になるまでの間に、日本語や英語、算数、音楽、体育(体力づくり)などを家庭で母親から学んだ。幼い頃の学習だからと言って、厳しい英才教育を受けて来たというわけではない。
母親の運営するDIRIGOの、親子対談記事を読むと、そこには幼い頃の家庭学習について「勉強の時間という感覚は無かった」と言うすみれさん自身の言葉がある。家庭学習において、遊びを通して子供の好奇心を育み、何でも挑戦させるスタイルは、後に「自分で未来を切り開く」すみれさんの軸になっているように思う。
■国際学力比較調査上位国、フィンランドの
塾などの試験・受験対策に子供の時間とお金を使うよりも、子供が自分で選んだことに時間とお金をかける、その廣津留真理さんの教育スタイルは、国際学力比較調査で常に上位にランクインしているフィンランドを彷彿させる。
フィンランドの年間授業日数は、OECD加盟国の中で最も少ない約190日間、それに加えて宿題も無い。日本の様に塾も無いので多くの時間を「自分の好きなこと・興味があること」に充てることが出来る。自分の好きな本を好きなだけ読める時間を持てるフィンランドは、実は読書量でも世界1位なのだ。
多数の日本人の常識を大きく超えた教育法は、国内でも、世界でも実は無数に存在している。そして我が子に受けさせたい教育環境を求め、子供を連れて動く親は確実に増えてきている。様々な事情があり環境を変えることは出来なくとも、自分自身の「意識」は今すぐにでも変えていくことが出来るはずだ。
「子育てに手遅れは無い」。教育評論家、尾木直樹氏が、子育て世代の親達に常に訴え続けている言葉だ。1人1人がスペシャルである子供達を目の前に、私達親はいつからでも何かを始められる。だからこそもう1度、「どんな環境で子供を育てていきたいのか」改めて考え行動することは、私達大人に「今」求められているのではないだろうか。(記事:板垣祥代・記事一覧を見る)