14期連続増配計画に、ホッとした!

2020年8月28日 16:35

 妙な言い方だが、10期を超える連続増配を続けていた会社が「不透明感」から「今期計画/配当予想」を「未定」とすると心配せざるを得なくなってくる。「安定配当(性向)」「連続増配」は、企業を見定める上で重要なポイントとしているからだ。

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 例えば、NECネッツエスアイなどそんな1社だった。4月末に発表した前3月期は、2円増配の80円配予定が業績の上振れを反映し4円増配の82円となった。だが今期計画は、多くの企業がそうだったように「環境不確定」を理由に見送った。

 が、4-6月期を終えた7月末に「2.7%増収、10.8%営業増益、11.4%最終純益」と今期計画を発表するのと同時に、「27.33円を28円配とする」とした。6月1日発効で1対3の株式分割をしており、実質上の2円増配である。

 冠のNECが示すように同社は、NECの通信工事の部門が独立した企業。放送・通信インフラ工事が祖業だが、いまや企業のネットワークやITサービスを主軸としている。NECネッツエスアイが私の好きな会社の1つになったのは、連続増配+気概。

 幹部社員から、こんな言葉を耳にしたことがある。「NECを冠しているが、うちはマルチベンダーだ」とし、「通信事業者や官公庁・自治体・鉄道など諸々の社会インフラのニーズに沿い、様々なハードウェア・ソフトウェアを組み合わせることで工事から保守までワンストップで対応している。必要な部品や機器は状況に合わせ最適なものを採用している」。小気味がよかった。

 言うまでもないだろうが、連続増配の背景は安定した増益基調に求められる。同社のビジネス(売上高)の構成を前期末で見ると、「一般企業約2000億円/NEC向けは300億円程度」「官公庁、通信キャリア向け各500億円」「海外事業約100円」。

 そして興味深いのは提供内容。「デジタルソリューション:約1000億円」「ネットワークインフラ:約900億円」「エンジニアリング&サポート約800億円」と好バランスで、かつ「NECへの依存比率は3割弱」にまで低下している。

 先の幹部社員は「NECへの依存率はこれまで通り徐々に引き下げていく方向であり、事業構成のバランスは保っていく」としている。また前記の1対3の株式分割が示す通り「流動性を高め、個人株主つくりに努める方針で配当に関しては収益動向に応じ増配を継続するのも大事だが、安定した好配当・好配当性向を目標にしている」とする姿勢を示した。

 株価は会社に対する通信簿、と言う。ならば配当政策の維持は株主に向けた、通信簿と言えよう。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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