スバル・新型レヴォーグ 待たれる2.4L300ps越え リーンバーン(希燃焼λ=2)で勝負

2020年8月27日 07:49

 10月に発売予定となっているスバル・新型レヴォーグは、【「CB18DIT」熱効率40%超1.8L水平対向4気筒ターボエンジン】がすべて、と言っても良い。あらゆる意味で意欲的なエンジンだ。遅いと言えば遅いが・・・。

【こちらも】スバル・新型レヴォーグの1.8Lリーンターボエンジン、ボクサーで熱効率40%達成

 旧型エンジン「FB16DIT」と比較するとよくわかる。ストイキ(λ=1)燃焼からλ=2に希薄燃焼にしながら、最高出力を保ち、最大トルクを250Nm/1800-4800から、300Nm/1600-3600rpmに上げている。そして、何より最大トルク発生回転数をかなり下げている。

 一般的なレシプロエンジンが空気に燃料を混合させ、完全燃焼させるに理論上の混合比率を「理論空燃比(ストイキオメトリー)」略して「ストイキ(λ)」と言っている。λ=1の混合比は燃料1gに対し空気14.7g、つまり「λ=1は1:14.7」となる。「CB18DIT」エンジンは空気29.4gに対して1gの燃料を噴射していることとなる。

 1回の気筒内爆発に対して「FB16DIT」の半分の燃料しか使っていないこととなる。これがそのまま燃費半減に繋がらないが、かなり燃費に関して有利となる。

■旧型FB16DIT

 最高出力: 170ps(125kW)/4800-5600rpm
 最大トルク: 250Nm/1800-4800rpm
 ボア×ストローク: 78.8mm×82.0mm 1.04
 圧縮比: 11.0

■新型CB18DIT

 最高出力: 177ps(130kW)/5200-5600rpm
 最大トルク: 300Nm/1600-3600rpm
 ボア×ストローク: 80.6mm×88.0mm 1.92
 圧縮比: 10.4

 新型CB18DITエンジンは、旧型FB16DITエンジンに対して、かなり「ロングストローク」になっている。これは1回の爆発でピストンを長く押していることとなり、低回転域からトルクの発生を大きくすることとなる。低回転型エンジンだ。逆に高回転型エンジンであると、高回転での最高馬力が大きくなるため、常に高回転を保つ必要が出てくる。

 近年、自動車メーカーが低回転領域1000rpm~2000rpmのトルクを大切にするのは、街乗りの使いやすいエンジンとするためである。それで回転を上げる必要がないので、燃費も良くなるのだ。また、郊外路、高速道路を80km/h程度の巡航速度で走るなら、ほとんどλ=2のリーン燃焼でいけるという。λ=1とλ=2の切り替えショックも運転中に感じさせないようだ。

 燃えにくいリーンバーンのため、サイド噴射(サイドインジェクター)からプラグ近くのトップからの噴射に変えている。点火に成功すればタンブル流に載せて燃焼させる必要があり、この工夫もしていることは当然だ。

 新型CB18DITエンジンは新設計と言っても良いほどになっているが、2.0Lターボエンジン「FA20DIT」300psに替わる高性能エンジンが発表されなかった。また、トヨタ方式を取り入れたHVエンジンも発表されていない。近い将来発表されるのであろう。

 こうした北米重視の施策は、日本企業としての自覚を疑わせるに十分だ。いくら日本市場が縮小しているからと言っても、これではさらに縮小してしまう。トヨタ1人勝ちになっている日本市場の状況を見るにつけ、『「グローバル企業」を自負して、アメリカ被れするな!』と言いたくもなる。

 北米市場で育った現スバル経営陣に、『日本の雇用を守る自覚を持て』と言いたい。日本社会に貢献しない企業など存在意義がないのは明白であり、トヨタのように日本市場を起点としての姿勢を持ってほしい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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