都会派トヨタ・ハリアー&アウトドア派トヨタ・RAV4 その差は深い? どっちがいい? (1)

2020年8月25日 11:49

 デザインでは明白な違いを見せる2つの車両ハリアーとRAV4だが、ボディサイズで見ると「差異は少ない」、いや「ほとんど同じ」と言っていいであろう。しかし、性格の差が歴然としている。それなのに、この2台はラインでは「同じ車」として生産できるのだ。

 その差の深さについて、「日産・デイズと三菱・eKクロス/ワゴンの差異の近さ」と比較すると、生産システムでの実力の大差が感じられる。それが、「トヨタの凄味」なのであろう。

■トヨタ・ハリアー
 全長×全幅×全高(mm): 4,720×1,835×1,690
 ホイールベース(mm): 2,660
 トレッド フロント/リヤ(mm): 1,560 / 1,560~1,570 / 1,570
 最低地上高(mm): 75~190
 室内長×幅×高(mm): 1,965×1,480×1,220
 車両重量(kg): 1,560~1,770

■トヨタ・RAV4
 全長×全幅×全高(mm): 4,610×1,865×1,690
 ホイールベース(mm): 2,690
 トレッド フロント/リヤ(mm): 1,595 / 1,615~1,605 / 1,625
 最低地上高(mm): 190~200
 室内長×幅×高(mm): 1,890×1,515×1,230
 車両重量(kg): 1,590~1,690

 両車のスペックで注目すべきは最低地上高で、RAV4が本格的オフロードカーと言えるセッティングであるようだ。普通乗用車は最低地上高150mm程度であり、スポーツタイプとなると120mm程度のものもある。オフロードを意識すると200mm以上欲しいところだ。200mm程度の最低地上高があると、日常街乗りであっても道路の縁石などを気にせず走ることが出来る。

 これはRAV4のデザインにも表れており、兄弟車であるハリアーとの差別化の象徴であり、ターゲットの分離を狙っていたことが明白だ。アルファード・ヴェルファイア・ヴォクシーでも見せている、トヨタが得意とする兄弟車でありながら、棲み分けをきちんと出来る「性格付け」のうまさだ。RAV4とハリアーでは、『都会派ハリアー&アウトドア派RAV4』の違いを明確に感じさせる出来栄えにしている。

 この、兄弟車で市場を棲み分けることでより広い客層をグループ全体で捉える手法は、かつてトヨタが「カローラとスプリンター」で見せて以来、伝統的な「得意技」と言えるのである。歴史を経た現在では「日産・デイズと三菱・eKクロス/ワゴンの差異」からは感じられないほどの違いがあるのだ。

 この「深い差」を実現するには、生産システムにおいて「混流生産」は元より、「スウィング生産」まで実現し、生産拠点の生産の平準化が出来る仕組みにまで進歩している必要があり、サプライヤーを含めた資本体系まで及ぶ、「企業の実力」そのものなのだ。このポイントが「資金効率」であり、投資感覚の経営者では見落としている、ビジネスモデルの基本である。ホンダ、日産のグローバル経営陣が長年気付けていない「自動車産業のビジネスモデル」なのだ。

 続きは:都会派トヨタ・ハリアー&アウトドア派トヨタ・RAV4 その差は深い? どっちがいい?(2)(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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