学資保険は得なのか? 投資運用や生命保険としての評価を考える
2020年8月24日 12:08
学資保険とは、子どもの教育資金を目的とした貯蓄型の保険であるが、主な特徴としては、子どもの進学の節目で祝い金や満期保険金を受け取れることと、契約者に万が一のことがあった場合にそれ以降の保険料の払い込みが免除されることである。
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そして、総支払額に対する総受取額、いわゆる返戻率であるが、2020年8月現時点の学資保険の中では105%前後が最高返戻率であり、例えば300万円の支払いで約15万円ほど多く受け取ることができる。預貯金の金利がほぼ0%といえる現代において、利回りの良い預貯金に死亡保険が付いているかのようで、お得に感じられるだろう。
しかし冷静に考えると、105%の返戻率は決して投資運用としては優秀でないことがすぐに分かる。つまり、105%は年利ではないのだ。0歳から学資保険に加入し、18歳に満期保険金が支払われるとした場合、先の例でいえば15万円÷18年=1年間8,333円の利益であり、年ベースで考えれば300万円に対してたったの0.3%程度の利率でしかない。
もちろん、積み立てであることを考えれば、年ベースの利率はもう少し上がるとはいえ、消費税の増税分にもならないような商品は、投資運用としては物足りない。ほぼ金利0%の預貯金や、2020年8月現在年利0.05%の国債よりもマシなレベルである。
そして、契約者に万が一のことがあった場合に払い込みが不要となるという特徴も、生命保険や住宅ローンの団信に比べれば全くもって効果が薄い。むしろ、万が一の際には学費が工面できるような保険金が支払われる程度の生命保険に加入すればいいだけだ。
学資保険に毎年20万近く払い込むのであれば、住宅ローンの繰り上げ返済に充当するほうがまだ効果的であるし、NISAなどの非課税制度を利用しながら安全度の高い投資運用にチャレンジするという選択肢もあるだろう。
もっとも、貯蓄がどうしてもできない性分であることを自覚し、毎月計画的に積み立てていきたいという目的があれば別ではあるが、投資運用や生命保険代わりの学資保険という考え方は、少なくとも避けたほうが良いだろう。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)