マツダ・水素ロータリーエンジン EVによる自動車産業の雇用喪失を防げるか? (2)

2020年8月22日 10:24

 この欧州の戦略転換は、中国政府から大量の資金援助を受けた電池メーカーとまともに勝負が出来ないと悟った末のものと言える。ここで理解しておきたいのは、民間主体の欧米の資本主義と国家予算で行う中国の資本主義は、経済システムとしても全く異なるシステムであることだ。だから、このままでは欧州自動車メーカーの世界覇権は、縮小するだけでなくいよいよ消滅する可能性すらあることに気付いたのだ。

【前回は】マツダ・水素ロータリーエンジン EVによる自動車産業の雇用喪失を防げるか? (1)

 今、起こっているアメリカと中国の争いの内容をよく見ると、日本も含めて、中国が自由主義社会の脅威となりつつあるのは事実と認めざるを得まい。政治の世界の話だけでなく、「国家資本主義」とも言える独裁国家の企業は、欧米・日本の企業とは違い主権が国民にないことは明白だ。

 そのため、自由市場での自然の競争原理で動いてはいないことが問題となってきている。BEVに対する中国の補助金制度を見ても、「国家方針」と言えるものであり、民間企業同士の自由競争とは言えないものだ。

 対抗策として、欧州各国の取ろうとしている政策は、これまた国家主権を背景とした「排気ガス規制」を利用して、自由経済競争を規制しなければならない方向なのだ。F1レースの規約改正に見られるように、スポーツの世界ではよく起きている「ルール改定で主導権を握る」ことなのだ。

 現在、ようやく中国資本の本質に気付いてきた欧米政府と企業が、自らの主権を確保するために模索が始まった。韓国も日本も早く気付いて、自らの主権が侵されない対策を考えねばなるまい。だとすると、「欧州の水素社会」の構想に乗っていくのが利口ではないのか?

 元来、水素エネルギー利用には日本の技術は先行していた。トヨタのFCVも、マツダのロータリーエンジンも、水素社会には必要な技術であろう。マツダ・ロータリーエンジンは少しの改造で水素エンジンの問題点をクリアし、ガソリンと水素を燃料として併用できるメリットもある。水素スタンドの整備が途中の、水素社会が出来上がる過渡期としては貴重な技術だ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

関連記事

最新記事