SDGs投資を考える

2020年8月18日 16:43

  SDGs(エスディジーズ)。周知の通り2015年の国連サミットで国連加盟の193カ国により採択された、「持続可能な開発目標」である。「貧困」「エネルギー」「飢餓」「成長・雇用」「不平等「平和」など17の指標からなり、例えば「貧困をなくす」などの目標のため15年から30年に向けて「効果」が計画通りに進めば、年間12兆ドル規模の市場と約3億8000万人の雇用が創出されるという壮大な計画である。

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 昨今では「SDGs投資」といった投資スタンスに沿った運用もクローズアップされ、関心を集めている。生保などの機関投資家からは「超低金利の今、長期スタンスに立ちSDGs投資でパフォーマンスを求めていく」といった姿勢が表明されたりもしている。

 が、個人投資家にとっては、「分かったようで飲み込み切れない材料」というのが実情のようだ。「SDGsに取り組む企業は、(株式)市場での好感度が高い」と言われても、どんな企業なのか・・・。外務省が「SDGs取り組み企業」を掲載している。詳細は外務省のホームページで確認してもらうとして、社名の頭が「あ」行だけで50社ある。

 具体的にどんな企業があるのか。

 積水ハウス。兜町のストラテジストに「何故」を噛み砕いてもらった。

 ★06年から「女性活躍の推進」「多様な人材の活用」「多様な働き方、ワーク・ライフ・バランスの推進」など打ち出し、人事制度の改革を進めている。

 ★18年9月からは男性社員を対象に、1カ月以上の育児休業完全取得を目指す「イクメン休業」を開始。19年2月からは取得率を公開。毎月100%を維持している。

 ★社員の環境意識向上に取り組み、脱プラゴミ策として「マイボトル」を推奨。19年度の社内のペットボトル削減量は、前年度比7割となった。

 封筒最大手のイムラ封筒。

 ★封筒の製造過程で発生する紙片や窓フィルム片など廃棄物のリサイクルに注力。窓付き封筒に使う窓フィルム素材や封筒のフィルムラッピングなどを紙素材に戻す研究に取り組んでいる。

 ★産地が明確でない輸入パルプの利用率の低下を重視。21年には「適正に管理された木材」(間伐材由来のパルプ)使用量を17年度比3倍にすることで、「国内パルプ利用促進」「森林荒廃防止」「山間地域の産業育成」を進める方針。

 ちなみに記した2企業は適当にピックアップしたもの。それぞれをSDGsが国連サミットで採択された翌16年の初値で買い、今年の高値(本校作成時点)まで保有していると、積水ハウスの株価パフォーマンスは約20%/イムラ封筒は約2・9倍。この限りではSDGs掲載企業は長期スタンスで構えて価値ある銘柄ともいえそうである。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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