「フーテンの寅さん」企業?が上場した
2020年8月18日 07:20
啖呵売、と言えばフーテンの寅さん。そんな「フーテンの寅さん」企業?が、6月24日に東証マザーズ市場に上場した。コパ・コーポレーション(以下、コパ)。
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展開する事業は、実演販売。実演販売とは「消費者の目の前に実際に商品を持ち出し、価値をアピールし購入促進につなげる販売手法」。と言葉で説明しても、面白くもおかしくもない。
同社のホームページを覗いたら、こんな例が紹介されていた。商品名は『穴あき包丁』。販売士(詳細は後述)は、ムッシュ中島氏。中島氏が『さあー、いかがでしょうか。なかなか便利。ネー錆びないし。さっ、柔らかいトマト、皮の表面が突っ張っているから、ツルっと滑ったり、力を入れてグシュと潰れたりしちゃう。(この穴あき包丁は)非常に刃が薄いから、スーッと滑らかに切れちゃう。重さは125g、凄く軽い。軽いんだが・・・』といった具合に、身振り手振り体振りを交えて面白おかしく聞く側・見る側を「ホーっ」と唸らせ実演販売をしていくという次第。
コパでは、実演販売士育成の「売の極意塾」と称する講座を開設している。9日間で実演販売士を育成するプログラム。講座終了後に、実地試験が行われ1日の売上:20万円を達成したものだけが「実演販売士」を名乗ることができる。
コパは「TVなどでも顔・名前が知られている、レジェンド松下をご存知でしょう。彼も育成プログラム/1日20万円売上の道を経て出てきた。うちの取締役でもある」と聞かされた。写真を見たら、確かにTVで何度か出会った顔だった。
では具体的にコパは、どう収益を上げているのか。「TV通販」「ベンダー(売り主)販売」「インターネット(大手ネットモールでの動画)販売」「セールスプロモーション」「デモカウ(後述)」。
前3月期の売上高の45%近くを占めたのが、TV通販。コパの実演販売士が地上波TVの通販番組やBS・CSの24時間TVショッピングチャネルなどで販売する商品を、TV通販番組の運営会社に卸売り販売する。
ベンダー販売では量販店への商品卸/VTRの映像提供で稼ぐという枠組み。長い実績から「実演販売」で売れるタイプ、売れない類いの商品データベースが蓄積されているから依頼主とともに「売れ筋商品の企画」ができるのも、強み。「技術はあるのにヒット商品がでない」「業務用は売れるのに一般用では鳴かず飛ばず」「販路がない」といった中小製造企業からの「お知恵を」というオファーが多いと言う。
前記した「デモカウ」は、実演販売士の鍛錬の場という意味合いも持つ。東京スカイツリーにある「東京ソラマチ」に店舗を出し「卸先開拓」と同時に、「コパの認知度向上」「販売士育成」の役割を担う事業である。
コロナウイルス禍相場の影響で3月24日の上場を中止。が、再度の承認を経ての上場。寅さんだったら「実演販売・・・俺なんぞとうの昔からやっているよ、なあ、さくら」と言ったかもしれないな・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)