吉本興業と東京
2020年8月4日 15:47
吉本興業=大阪、の感が強い。だが全国で直営の劇場を14館運営していた。そして8月8日には15館目が、有楽町にオープンする(チケットは7月18日から公式サイトで受け付けを開始)。
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その名も、お笑い常設劇場「よしもと有楽町シアター(205席)」。場所は、三菱地所が保有・運営・管理する有楽町ビルの2階。有楽町は丸の内・銀座・日比谷・皇居外苑との結節点に位置している。商業・MICE(ビジネスイベント)・文化・芸術等の多様な機能を有しているエリア。
吉本興業では「Laugh&Entertainment(お笑いエンタテイメント)」をコンセプトに掲げ、「お笑いとおもしろい(興味深い)を発信していく。仕事帰りに笑って帰りたい人々に向けて、思い切り笑って楽しめる空間を提供する」としている。
三菱地所にとっても今回の一手は意味を持つ。同社では大手町・丸の内・有楽町エリアの2020年以降の街づくりを『丸の内NEXT ステージ』と位置付け、「人や企業が集まり交わることで新たな価値の舞台の創造を目指す」としている。
そうした観点から重点エリアの1つである有楽町に商業・文化・芸術をコアとした街づくりを進める一方で、吉本劇場を新たなエンタテイメントの発信拠点として更なる街の賑わいを創出していく方針だ。
ところで吉本興業の現在の東京拠点は、2008年に移転されている。
吉本の事業所は北から「札幌支社」「東北事務所(宮城県仙台市)」「福島事務所」「新潟事務所」「東京本部」「横浜支社」「東海支社(名古屋市)」「静岡事務所」「本店・大阪本部」「広島事務所」「四国事務所(愛媛県松山市)」「福岡支社」「よしもとエンタテイメント沖縄(那覇市)」という陣容。
東京本部は、千代田区にあった。が、08年に新宿区歌舞伎町の花園神社に隣接する地に移った。旧四谷第5小学校をリニューアルしての移転だった。
今回の有楽町劇場進出に際し、素朴な疑問を感じた。何故、千代田区にあった東京本部を歌舞伎町に移したのか。新宿経済新聞(ネット新聞)07年7月6日付けで「吉本移転計画発表」に関する記事を配信している。「移転・改修費用は約8億円。移転後の月々の賃料は約350万円となる。『コスト的メリットは面積で12倍、総経費は現在とほぼ同額』と同社では試算する」としている。
この限りでは「大阪人の算盤勘定の巧みさ」を感じるにとどまるが、こうも伝えている。「保存を第一に・・・耐震性や安全面を確保しながら、外観はできるだけ現状のまま使用するとしている」。
(元)学校は地元のいわば「顔」。その外観を残して・・・という下りに惹かれた。所属タレントとの契約関係(ギャラ問題)等で持っていたいや~なイメージが飛んだ。(記事:千葉明・記事一覧を見る)