SNS炎上にも対応 時代を反映した上場企業アディッシュ
2020年8月1日 11:06
2020年3月に東証マザーズへ上場したアディッシュは、時代を反映した企業といえる。
【こちらも】ハローワークの中途入社組がダンボール大手の社長になった何故
例えば展開する事業の1つに『インターネットモニタリング事業』がある。「ネット上で炎上」といった言葉をしばしば耳にする。炎上リスク対応事業だ。
顧客企業(約400社)の商品・サービス内容に対して投稿される、ネット掲示板やSNSなどの書き込みを24時間体制で監視。不適切な内容を発見したら注意・警告を発信する。
契約先企業名などは明らかにされていないが、江戸浩樹社長は「お陰様で私どもの解約率は、一般的に言われるサブスクリプションより低い。多くの企業が継続した利用状況にある。サービスの初期設定時にフィーは事業の売上高の5%以下」とし、言外に「一度契約すれば、ストック型収益源になっている」と匂わせた。
幹事証券会社は、「機械による危険ワードの抽出など、多くのノウハウが生かされている。国内とフィリピンの5カ所の事業所で24時間業務が行われており、対応言語は10言語以上に上っている」とアッピールに余念がない。
また『スクールガーディアン事業』も世情を反映したビジネスである。顧客は教育委員会や私立校。「いじめ」や「個人情報の流出」につながるネット上の書き込みを監視し、顧客に報告することで生徒指導に生かしていくという事業。
ちなみに昨年のユニセフの調査では、「世界中の若者の3分の1が“ネットいじめ”を体験している」ことが報告されている。この事業はそもそもアディッシュの前身ともいえる、ガイアックスの社内ベンチャーとしてスタートした。昨今、同様の事業を展開する企業が増えている。だがアディッシュは240校を超える私学と契約を結んでいる。
現状では前記した2事業に加え、『ソーシャルアプリサポート事業』が収益の3本柱。この事業はネット上でサービスを運営する企業に代わり、電話・メール・チャットなどを介して利用者に対応するカスタマーサービス。顧客企業(現在、約100社)のサービス開始時点から携わり、運営の効率化につながる基準・規約なども提案することもあるという。
また今後の経営方針として、「フィンテック」「MaaS」の成長分野に注力することを明らかにしている。既に前者では「ネット上の不正決済」のモニタリング・カスタマーサポートに、後者では「私鉄のアプリのカスタマーサービスの請負」に足を踏み入れている。
いわば時代に即応した「ネット上のコミュニケーションソリューション事業」を展開。注目していきたい企業である。(記事:千葉明・記事一覧を見る)