球状星団の研究で判明した宇宙の年齢は133.5億歳 バルセロナ大学の研究

2020年7月29日 15:32

 真夏の夜空では、天の川が明るく見える。とはいえ都会では肉眼でそれを確認することは難しい。だが少し夜の明かりが少ない場所では、南の空に銀河の中心が輝いているのが確認でき、感動に値する光景である。銀河系の中心はいて座の方向にあり、いて座には大きくて有名な球状星団M22がある。今日の話題は、この球状星団の研究で宇宙の年齢を割り出した研究についてである。

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 イタリアの科学論文誌Journal of Cosmology and Astroparticle Physicsに投稿されたバルセロナ大学の研究論文によれば、私たちの宇宙の年齢は133.5億歳であるという。一般的に球状星団は、今から130億年以上前に宇宙で初めて星が形成された時、たくさんの星が集まって誕生したものと考えられている。

 したがって球状星団の年齢を知ることが、宇宙の年齢を知る近道となるのだ。球状星団の年齢を知るには、それを構成している1つ1つの星の年齢を調べることが手っ取り早い。都合の良いことに、球状星団は普通、銀河の中心付近に存在しているため、地球からの距離も1万光年前後と比較的近い。つまり、球状星団を構成する星の年齢を調べるのはさほど難しくなく、しかもそれらの年齢は均一であり、たくさんの星の観測でさらに観測精度の向上も期待できる。

 今回の研究は、ハッブル宇宙望遠鏡で観測された、銀河の中心にある68個の球状星団のデータが対象だ。これらの球状星団の年齢を調べ、同じ時期に形成された星を線で結んだ等時線を作成し、その情報から宇宙の年齢を推定している。

 その結果、銀河系で最古の球状星団の年齢は131億3000万歳であることが判明した。この球状星団が形成されるのにかかる歳月がおよそ2億2000万年であることから、研究者たちは宇宙の年齢が133億5000万年であることを突き止めたのだ。

 なお、この推定値の信頼性は非常に高く、68%の信頼水準にあるという。この値は宇宙マイクロ波背景放射(CMB)から得た宇宙年齢の値ともほぼ一致する。

 今回得られた結論の価値が高いのは、ビッグバン理論というまだ本当に正しいかどうかがはっきりしない仮説に基づく、CMBからの推定値ではなく、シンプルな恒星の年齢測定に基づくものである点にある。もしも万が一ビッグバン理論が誤りであったにしても、我々人類は全く別のアプローチで正確な宇宙の年齢を知りえたという意義は大きい。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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